家電購入時、販売店の長期保証に入るべきか?【得するためのルール】

故障の発生確率はメーカーの資料で調べられる

週末の家電量販店で、高齢のご夫婦が「そんなにいろいろ機能があっても使いこなせない。一番壊れにくいのが欲しい」と話しているのを耳にしました。ほんと、そのとおりですよね。

家電を買う際、機種を選ぶのと同じ位迷いがちなのが、「長期保証」です。

家電製品はメーカーが1年の保証期間を設けていますが、保証料を払うことで、販売店が2年目以降も保証を付けるというものです。

商品によって保証期間や保証料が異なりますが、5年保証、保証料は購入価格の5%、などの例があります。

10万円の5%なら、5000円。かなり迷う額です。

もしも、5年以内に故障しなければ保証料は損。

故障すれば保証料を払っておいた方が得、ということになります。

でも、故障するかどうかは分かりません。運悪く故障した場合の修理代は、まさに「見えない損失」であり、これをどうみるかが、損得の分かれ目といえます。

その際、基準にできるのが、故障の発生確率と、修理代の見込み額です。

1年以内の故障にかかる修理費用はメーカーの負担です。

メーカーとしては、修理代などのコストを見込んでおかないと、利益が大きく左右されかねません。

そこでメーカーでは普通、修理代「製品保証引当金」という費用を見込んでおり、売上からこの費用を引いた額を利益と考えています。

製品保証引当金は有価証券取引報告書に記載されており、誰でも自由に見ることができます(メーカーの公式ウェブサイトのIR情報などに有価証券取引報告書があります)。

売上に対してどの程度の製品保証引当金を計上しているかを調べてみると、メーカーによって売上の0・1%~1・7%台の金額を見込んでいることが分かりました。

どのメーカーも、過去の不具合発生率をもとに計算しているということも記載されており、発生率は0・1%~1・7%。

つまり1年以内に1000台中1台から17台の確率で故障が生じている、ということです。

各メーカーの故障率を調べると、製品の信用性を推し量ることもできそうですね。

故障というトラブルには費用が伴う

「見えない損失」として、故障したら発生する費用を考えてみましょう

修理代にいくらかかるかは、製品の種類や故障内容によって異なりますが、ここでは、購入価格は10万円、修理代を仮に3万円としましょう。

修理代が必要になる可能性を、「期待値」といいます。

メーカーが計上している製品保証引当金は1年以内の故障に対する備えで、年数が経つごとに不具合が生じる可能性も高くなるのが普通です。

そこで修理が必要になる可能性は年数ごとに設定する必要があります。

ここでは、2年目3%、3年目5%、4年目7%、5年目9%と仮定します。

すると期待値は次のようになります。

2年目 3万円×3%= 900円
3年目 3万円×5%=1500円
4年目 3万円×7%=2100円
5年目 3万円×9%=2700円
合計………………………7200円

期待値が7200円なのに対し、4年分(2年目~5年目。1年目はメーカー保証)の保証料は5000円ですから、保証料は安い、ということになります。

とはいえ、これは修理費用や修理が必要になる割合について架空の数字を元にした試算です。

「入っていた方が安心」「壊れたら生活に支障をきたすの困る」という場合は、損得は二の次にして保証を得るというのもありでしょう。

大事なのは、迷ったときに、どんな判断材料があるかを考えることで論理的に判断することができる、ということを知っておくことです。

家電については、どんな故障が起きやすく、その場合の修理代はどの位かを聞いてみる、というのもいいでしょう。

また、新製品が好きで頻繁に買い換える、という人は、保証料を払う必要性は低いと思います。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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