1年後の110万円より、今日の100万円が得【時間の価値を判断要素に入れる】
あるとき、父親が十人の家族に言いました。
「来年の今日、定期預金が満期をむかえる。預けた100万円が110万円になるから、満期になったら一人11万円ずつあげるよ」
すると賢い末っ子は言いました。
「僕は10万円でいいから、今すぐ頂戴」
みんなは「なんて図々しい奴なんだ」と思いましたが、父親は目を細めて喜び、末っ子に10万円を渡したそうです。
さて、どうしてでしょう。
今の10万円と1年後の11万円を同等の価値とみなす考え方があります。
お金の「時間価値」や、「価値割引」という考え方です。
たとえば、10万円を1年間、金利10%で運用すると、1年後には11万円になります。
この場合、1年後の11万円の「現在価値」は10万円です。
言い換えれば、現在の10万円は1年後の11万円に対して「価値割引」をした金額ということ。
1年で1万円増えたり、逆に1年早くもらえることを「時間価値」ということもできます。
前述の末っ子は、「今すぐにお金を受け取る方が自分にとって価値がある。1年早くもらうなら、価値割引から考えて1万円少ない10万円が妥当」と考えたわけです。
11万円を今すぐよこせ、というならただの我がままですが、理に叶った要求をする賢さに父親は目を細めたのですね。
この考え方は、意外と日常生活のあちこちで関係してきます。
覚えておきましょう。