機会原価の意味「ラーメン屋か?立ち食いソバ屋か?」
今回の「頑張ろう日商簿記1級合格」は意思決定に関する話で、機会原価というとても大事なコスト概念についてお話をします。
これは一般的な貸借対照表や損益計算書をつくる原価計算とはちょっと違いますが、経営上のマネジメント意思決定をする上ではとても大事な日常業務的な意思決定です。
これは簿記検定1級を勉強していなくてもビジネスに使える考え方なので、少しでもこの機会原価のイメージを持っておきましょう。
例えばラーメン屋を開くか立ち食いそば屋さんを開くか、どちらか悩んでいるとします。
これはお互いに共通しないコストだと思ってください。
いわゆる埋没原価というものがない状態ですが、それぞれ独自のコストと収益を見てみたら、ラーメン屋さんは収益が1,000万円で原価が700万かかって、利益が300万になります。
これはライバル案で、今回の主役は立ち食いそば屋です。
立ち食いそば屋さんをもしやろうとしたときには収益は970万で原価550万なので、470万の利益になります。
そうするとラーメン屋さんを諦めなければいけません。
どちらかしかとれないという意思決定を考えた場合に、立ち食いそば屋さんをやることによってラーメン屋さんの300というのはとれないのです。
300と470を比較すると、どう考えても立ち食いそば屋さんの方をとるという発想でも良いのですが、計算上は300を機会原価という形で引きます。
立ち食いそば屋さんを採用することによって、代替案の逸失利益を考えます。
つまり、ライバル案にしていれば得られた利益を機会原価という形にします。
そうすると、470から300を引くと、なおかつ170の差額利益が残ります。
立ち食いそば屋の差額利益は170ということなので、立ち食いそば屋を開くということになります。
逆にラーメン屋さんを主役にすると、ラーメン屋さんの利益300から立ち食いそば屋さんの逸失利益は470なので、300-470で170のマイナスになります。
よってラーメン屋さんは170の差額損失になります。
ですから、結果的に立ち食いそば屋さんを採用するということになります。
あるプランについてライバル案の利益を引くという機会原価の考え方で経営上の意思決定をするということを知っていただくと面白いと思います。
これは日商簿記検定1級の原価計算に関係する話です。
こうやって見ると、1級の工業簿記や原価計算というのは経営やマネジメントに役に立つ数字の話が出るので面白いです。
よかったら参考になさってください。
私はいつもあなたの日商簿記検定1級合格を心から応援しています。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。