富士フィルム、監査人を新日本から変更
富士フィルムホールディングスが、会計監査人を変更するそうです。
2017年3月期にも、従来の新日本監査法人から、あずさ監査法人に変更する方針を固めた、とか。
以上に関して、富士フィルムホールディングスのホームページを見たので、すが、特に関連するリリースは見られなかったように思います。
なお、このような会計監査人の交代が、もしも現実に起こるとするならば、本来ならば非常に大きな出来事です。
投資家としては、会社の財務内容をチェックする専門家が変わるということで、まず第一に、監査人となにかトラブルでもあったのか?という想像をしてしまいます。
会社の決算に対して、監査人が「No!」と主張し、その点で会社と対立した、みたいなですね。
だとすると、会社の経理内容に、会計監査人と対立するべき深刻な問題を抱えている可能性も考えられるのですが・・・。
今回は、あの東芝の不正経理で揺れる新日本監査法人なので、むしろ、会社の側では、監査人としての世間の信頼性が落ちてしまったことによる、自社のイメージダウンの方が怖いという意識なのかもしれません。
6月末の株主総会を経て、あずさ監査法人への交代を正式に決める、とも報じられています。
新日本監査法人については、過去に、オリンパスの会計不祥事も見抜けなかったという前科がありますので、もうこれは監査人としての専門職業的な資質について疑義を持たれたとしても不思議はないように思います。
じっさい、この時の日経新聞も似たような論調でした。
新日本監査法人は、その一部の前身であるセンチュリー監査法人に私もいましたので、気になるところです。
基本的な監査技術のレベルが低下しているのでしょうか。
あるいは、人手不足で、現場に専門的な監査技術を持ったひとが足りなくなっているとか、あくまで想像ですが、いろいろな要因が想像されます。
提出すべき形式上の書類が、たとえば二十年前に比べて、格段に増えているかもしれないな、という印象があるので、詳しいところはわかりません。
しかし、昨今の監査人を取り巻く、厳しい世間の目を考えるに、次のような状況がありうるかな、という気がしています。
書類作りに、もしも忙殺されて、重要な会社の事業の中身を理解するとか、現場に行って帳簿と実務の乖離などを指摘するスキルを高めるとか。
そういったソフト面の監査技術向上が、どれほど時間を取って磨かれているのか。
そういった根本的なところ、基本的なところをもういちど見つめ直し、監査の原点にたちもどることも大事ではないでしょうか。
国際会計ルールの後追いをすることが悪いとは言いませんし、コンプライアンスを声高に叫ぶのも悪いとは言いません。
しかし、目先の変化を追いかけるのに、やっきになりすぎて、最も基本的な監査人の人的素養や技術的素養を地道に磨くことを忘れていないかどうか、業界を上げて、虚心坦懐に見直してみる時期に来ているのかな、とも思います。
なんたって、会計監査人は、会社と投資家をつなぐ信用の架け橋なのですから。
(日経16*3*15*11)