鴻海(ホンハイ)がシャープへの出資を66%に
2月25日に、シャープが第三者割当による新株発行を行い、これを鴻海(ホンハイ)精密工業が引き受ける旨を発表しました。
※シャープによる第三者割当と親会社等の異動に関するお知らせ
⇒ http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2016/160225.pdf
まず「第三者割当増資とは何か」について確認します。
第三者割当増資とは、特定の者に対して新株の割り当てまたは新株予約権の付与による新株の発行を行う方法です。
発行価格は、株式市場における時価を根拠として決定されるのが一般的ですが、発行価格を時価より低くすることもあります。
会社の再建または業務提携強化等の目的で実施されることが多く、今回のシャープの案件は再建と同時に業務提携強化の両方の趣旨が背景にあるように思われます。
なお、増資をするさいのやり方として、上の第三者割当増資の他、公募増資や株主割当などによる方法があります。
公募増資は、広く一般の投資家を対象に新株を発行し、募集を行う方法です。
通常、株式市場における時価をもとに発行価格が定められます。
より多くの投資家にその会社への株式投資を促す場合には、この公募増資が有効です。
株主割当は、特定時点の既存株主に対して、一般の投資家よりも優先的に新株の割り当てを受ける権利または新株予約権の付与により、既存株主から新たな資金を募集する方法です。
このように増資にはいろいろな方法がありますが、新株を発行して資金を払い込んでもらったら、基本的に次のような仕訳を行います。
たとえば100万円を増資により資金を受け入れたとします。
受け入れた出資額をすべて資本金とするならば、仕訳は次のようになります。
(借方)現金預金100万円 /(貸方)資 本 金100万円
増資によって株主の持分である純資産の部がより充実され、企業の財務安全性を高めることになります。
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【バランスシート(単位:万円)】
資産 | (負債)
現金預金 100 | :
: |(純資産)
: | 資本金 100
: | :
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なお、今回の鴻海に対する第三者割当増資にともない、普通株について約3873億円の資金を調達します。
そして、第三者割当増資後に、鴻海によるシャープ普通株の持分比率が66%となり、過半数を超えることからシャープは鴻海の子会社となります。
これは、鴻海の連結決算において、シャープの業績等が取り込まれることを意味します。
シャープの売上高予想が2兆7000億円ですから、鴻海の売上高が15兆円程度とするなら、あわせて18兆円近くの規模になり、競争上優位に立つことができると思われます。
シャープが今後、どのように立て直していくか、注目していきたいですね。
(日経16*2*26*1)