JXが原油安、在庫評価損などで最終赤字2000億円

石油元売りの最大手JXホールディングスの2016年3月期決算は、2000億円前後の最終赤字になりそうだとのことです。

2015年3月期が2772億円の最終赤字だったので、2期連続で2000億円以上の大幅赤字という結果が見えてきました。

当期の第2四半期(4/1-9/30)における最終損益は449億円の赤字で、前年同期における176億円の黒字を大幅に下回っており、新聞報道の内容に信ぴょう性をさらに持たせています。

なお、2015年11月4日に発表した業績予測では、2016年3月期の最終予想利益が450億円なのですが、これ、下方修正しなくていいのでしょうか。

人ごとながら少し心配になります。

さて、このようにJXホールディングスの最終業績が大幅赤字になりそうな原因として、原油安に歯止めがかからない点、そして、原油在庫に評価損が出る点などが挙げられています。

加えて、銅鉱山などの開発事業でも減損損失が発生し、これが2期連続の大型赤字を引き起こす元凶と考えられています。

ここまでの報道内容で、会計知識として、重要な点が3つ提示されています。

1.原油安による売価の低下

売上高=売価×販売数量 とした場合、価格要因の落ち込みによる売上高の低下。

2.原油価格の低下による期末在庫の評価損

1.の要因からくる派生的な影響です。

商品や製品といった「棚卸資産(たなおろししさん)」について、期末の評価額を決定するためのルールとして、「取得原価より期末の正味売却価額が下回っていれば、正味売却価額まで評価を切り下げ、その差額は『商品評価損』として損益計算書の費用に計上しなければならない」というものがあります。

正味売却価額は、期末において予想される販売価格(売価)から販売に必要な費用等を控除して求められる「時価ベースの回収可能額」です。

この額まで期末の在庫の評価を下げなければなりませんから、今回のJXホールディングスのような在庫評価が業績に与える割合の高い業種は、価格変動等でたいへんな状況にあると考えられます。

3.銅鉱山などの開発事業での減損損失

銅鉱山などは天然資源であると思われますが、設備のほか、天然資源も一定の要件に照らして、毎決算時における評価の検討の過程で、いわゆる減損損失の適用が必要かどうかのチェックがなされ、減損(つまり資産の価値の減少)の兆候があり、かつ、一定要件を満たしている固定資産は、その時点における売却処分価値などの評価額まで帳簿上の評価を切り下げよう、という話がでてくることがあります。

今回の案件は、機械装置など目に見える設備ではないが、銅鉱山の権益なども減損損失の対象になることがあることを教えてくれます。

いずれにせよ、原油安のマイナス効果は、様々な面でJXの業績にダメージを与えることになりそうです。

実際に3月を過ぎたら、JXの業績がどうなっているのか、気になるところですね。

(日経16*1*9*3)

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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