キューピーの純利益170億円で最高益

1月7日にキューピーが発表した2015年11月期の決算短信で、純利益が前期比27%増の170億円となり、4期連続で最高益を更新したそうです。

(決算短信)
http://www.kewpie.co.jp/company/ir/pdf/kessan_tanshin/2016_0107.pdf

海外におけるマヨネーズやドレッシングの売り上げが、伸びたほか、国内では卵の加工品がよく売れました。

2015年11月30日の業績は、次のとおりです。

売上高578,192百万円(4.5%)※前年同期比
営業利益26,441百万円(8.6%)
経常利益27,311百万円(7.7%)
当期純利益17,031百万円(27.4%)

このように、かなり業績が良いのですが、じつは発表後に株価が下がっています。

1/6:2,859円
1/7:2,828円
1/8:2,695円
1/12:2,593円

その理由として考えられるのが、2016年11月の業績予測です。

売上高575,000百万円(△0.6%)
営業利益28,000百万円(5.9%)
経常利益29,100百万円(6.6%)
当期純利益15,000百万円(△11.9%)

このように、当期純利益の予想が11.9%のマイナスとなるところが、もしかして、ひとつの大きな原因となったのかもしれません。

なお、この日の記事の中で、「アヲハタの子会社化にからみ、29億円の特別利益を計上した」というくだりがあります。

この部分につき、キューピーの決算短信で、もう少し詳しく見てみると、2014年12月1日に、キューピーの事業部門だった「ジャム・ホイップ・スプレッド等のパン周り商品販売事業」をアヲハタに会社分割という手法で譲渡し、アヲハタの株式をその譲渡対価として受け取ったことがわかります。

その際、持ち株比率が36.24%でアヲハタは関連会社でしたが、アヲハタ株の9.40%の追加取得で、持ち株比率45.64%になり、総合的に見て実質的に支配しているに至ったという判断で、連結子会社とされています。

<会社分割>
会社が、その事業の全部または一部を分割し、新たに設立する会社、またはすでに存在する別の会社に承継させることをいいます。

事業を承継した会社(本件ではアヲハタ)は、会社分割の対価として現金または株式の交付などを行います。

今回はアヲハタ株をキューピーが受け取り、持ち株比率が上昇して支配に至ったということです。

それに伴い、連結上の特別利益1,118百万円が発生しました。

このほかにも、事業再編にともなう利益の発生があります。

このように、一連の事業再編による利益の計上が、どうやら最終利益を押し上げたようです。

会社分割は、日商簿記1級レベルの高度な取引なので、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、キューピーからアヲハタに事業の一部を切り離して譲渡し、そこから利益が出た、というおおまかなイメージを持っていただけたらよいでしょう。

(日経16*1*8*15)

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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