東芝がリストラで最大7000人削減

12月15日の日経朝刊で、東芝が青梅事業所を大幅に縮小し、テレビ開発から撤退の可能性もある旨が報じられました。

いっぽうで、同日の東芝のニュースリリースでは、この報道について、会社では、そのような情報をその時点では発表していない、と反論的な記事を発表しています。

「当社の構造改革に関する一部報道について」
https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20151215_1.pdf

日経新聞の先行報道になっています。

その真意については外部からは、うかがい知れませんが、可能性のひとつとしてチェックしてみましょう。

現在、東芝は不適切な会計処理の問題で揺れています。

担当監査法人への罰則適用も報じられるなか、経営再建への道を模索中といったところでしょう。

さて、そのような状況のもと、最大7000人という大規模なリストラを東芝は敢行することになりそうですね。

青梅事業所にお勤めの方は、ちょっとビックリ!というニュースです。

会計的に言うと、もしも7000人もの人員削減が実施されると、決算書にどのような影響が及ぶか、ちょっと考えてみましょう。

東芝は製造業(メーカー)なので、従業員は大きく次の3つのセクションのいずれかで働いています。

1.製造部門(工場)
2.販売部門(店舗、支社、販社、営業部門など)
3.全般管理部門(本社、役員、管理本部など)

それぞれ、どこで人件費を支払っているかによって、損益計算書とバランスシートのどこに表示されるか、変わってきます。

まずは簡単なところからいきましょう。

2.販売部門と3.全般管理部門で働いている人にかかる人件費は、損益計算書にだけ表示されます。

場所は、「販売費及び一般管理費」の区分です。

※損益計算書の表示フォーム(営業利益まで)
1売上高(+)
2売上原価(ー)
***売上総利益
3販売費及び一般管理費(ー)
***営業利益
**:**
(以下省略)

つまり、製品の粗利である売上総利益から控除される営業上のコストとしての「販売費及び一般管理費」に含まれて控除され、営業利益の算定に影響を与えるのです。

つぎに、1.製造部門で働く人の人件費はどこに表示されるかというと、2箇所あります。

まず、当期中にかかった工場での人件費は、いったんすべて「製品」という在庫に集計されます。

製品に集計された人件費は、工場で消費される「材料費」とその他の工場で掛かる「経費」とともに、製品の原価を構成し、そのうちお客さんに向けて販売された分は「売上原価」として売上高から控除される費用になります。

いっぽう、販売されずに倉庫に売れ残りとして存在している在庫部分にかかる人件費は、バランスシートの「棚卸資産」に含まれ、資産として計上されるのですね。

このあたりは、日商簿記2級の工業簿記の知識となります。

日商簿記2級の知識は、会社の決算書を読む上で、とても役に立ちます。

ご興味のある方は、試験を受けるかどうかはともかくとしても、勉強しておくと、経理の方以外でも役に立つことが多いですよ!

(日経15*12*15*1)

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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