シャープが液晶事業を分社化?

シャープの液晶事業が、2016年3月期に、300億円の営業損失を計上する見通しとのことです。

このような状況下で、再建を果たすために、シャープは液晶事業を本体から分離し、新たな資金や人材を投入して同事業のテコ入れをはかる必要があると判断したようだとの報道ですね。

これについては、12月9日に、日経新聞の朝刊記事が出たことを受けて、次のようにシャープ側は発表しています。

「当社液晶事業に関する一部報道について」
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2015/151209.pdf

これによると、「…当社は液晶事業の構造改革について複数社との協議を行っている段階であり、現時点で決定した事実はありません。…」と説明されています。

なお、12月9日の報道前後の株価の動きを終値ベースで見てみると…

12/7…129円
12/8…126円
12/9…125円
12/10…125円
12/11…127円

わずかですが、下がっていますね。

とはいえ、大きな株価変動要因とはなっていないようです。

今後のシャープによる発表を待つ、といった感じでしょうか。

なお、分社化といった場合、会計的には「会社分割」という取引が、行われることがあります。

会社分割とは、会社法の規定に従って、会社の事業の一部を分離することをいいます。

新会社を設立して事業を引き継がせる新設分割と、既存の会社に事業を譲渡する吸収分割に分けられますが、今回の新聞報道では、どうやら新設分割の方式に近いのではないか、という印象ですね。

液晶事業への支援を検討する革新機構が、主取引銀行のみずほ銀行・三菱東京UFJ銀行と、債権の枠組み作りをするようですが、事業を分社して新たな事業会社を設立し、新会社に革新機構が直接出資する案を軸にしている、と記事では説明されています。

新設分割のタイプが記事からは想像できます。

なお、基本的な会社分割の会計処理のやり方として、分離する事業の資産と、譲渡により受け取る対価とのあいだに差額があれば、「移転損益」として、損益計算書の特別利益に計上する方法があります。

(設例)
A社は、B社に対し、甲事業部門の資産800万円と負債650万円を会社分割により移転した。その際、現金で250万円を受け取った。

A社の仕訳

(借方)負債(-)650万円(貸方)資産(-)800万円
****現金(+)250万円****移転利益100万円

このように、資産と負債が減少し、現金との差額100万円が損益計算書の利益として計上されます。

このような方法を、事業の一部を切り離して、売却したかのように解釈して処理することから、売買処理法とも呼ばれます。

これから、シャープの液晶部門がどのようにして、事業再編されるのか、注目していきたいところですね。

(日経15*12*9*1)

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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