全体の2割弱が持ち合い株
日経新聞6月11日の17面で、持ち合い株に関する特集記事がありました。
「わかる総会」というシリーズ記事の第5回目です。
持ち合い株とは、2つの会社がお互いの株式を持ち合うことです。
たとえば、A社(発行済み株式数100株)とB社(発行済み株式数200株)が、おたがいに10%の株式を持ち合ったとしましょう。
A社の株価は10万円、B社の株価は5万円とします。
<A社が株式を取得した時の仕訳>
(借方) 投資有価証券 100万円 / (貸方) 現金預金 100万円
※ 100株×0.1(10%)×10万円=100万円
<B社が株式を取得した時の仕訳>
(借方) 投資有価証券 100万円 / (貸方) 現金預金 100万円
※ 200株×0.1(10%)×5万円=100万円
これにより、A社のバランスシートには「投資有価証券(固定資産)100万円」が表示され、B社のバランスシートにも「投資有価証券(固定資産)100万円」が表示されます。
これで、A社とB社はお互いの株主になったので、取引関係が緊密になり、かつ安定化されたことになります。
しかし、ここでいくつかの問題が生じます。
(1)お互いに株を持ち合っていることで、株主としての監視を厳しくすることができず、もの言う株主のチェック機能が弱まることで会社の経営効率性やコンプライアンスなどの面で支障が出る可能性がある。
(2)ほんらいならば設備投資や有望な企業の買収などで、成長戦略に振り向けるべき資金を、現状維持のための後ろ向きの使い道に振り分けてしまいかねない。
(3)相手の株価が下がれば、手持ちの株式の評価が下がって資産が目減りするため、お互いに業績の依存度が高まることも考えられる。
新聞記事によると、1988年ごろには、株式市場全体の時価評価総額に対して、なんと51%もの株式持ち合いがあったということです。
半分以上が持ち合っていて、市場に流通していたのが、株式数の半分以下だったとしたら、今から見ると、これはたしかに異常ともいえる状況ですね。
かつて、日本企業の持ち合い株は、海外の投資家などからの批判の代表選手みたいなところがありました。
その後、徐々に持ち合いを解消してきています。
ようやく最近になって、2割弱のところまで減ったそうですが、見方を変えれば、まだ2割くらい持ち合い株があるのか、という話になります。
新聞の報道では、たとえば、みずほフィナンシャルグループは、時価にして2兆円弱の政策保有株(持ち合い株)を削減する姿勢を明記したそうです。
ということで、今後、さらに持ち合い株式の削減がすすんでいくことで、会社の経営効率化が図られることになるのかどうか、こういった側面からも今後の株式市場を見ていきたいところです。
(日経15*6*11*17)