景気回復の兆候も、実質賃金は減少?(日経15*2*17*1)

内閣府が16日に発表した10月~12月のGDP(国内総生産)の速報値(季節変動調整後)は、前期比0.6%増となり、年率換算で2.2%増となりました。

輸出が前期比で2.7%増えたことが大きな要因となったようです。

円安効果もあるでしょう。

ちなみに、GDPは、ある国が国内で生み出した付加価値の総計です。

ここでいう付加価値は、企業の損益計算書で言うところの「売上総利益」に近いイメージです。

(参考)損益計算書の基本フォーム(※経常利益まで)

1. 売上高 1,000
2. 売上原価 600
   売上総利益 400
3. 販売費及び一般管理費350
   営業利益  50
4. 営業外収益15
5. 営業外費用20
   経常利益 45
(以下省略)

このように、おおむね売上高から売上原価を引いた差額としての売上総利益が、GDPに一番近いと考えていいでしょう。

ただし、これは商業(小売業、卸売業、多くのサービス業)が、ぴたりと当てはまる考え方です。

ご参考までに、製造業の場合は、売上高から材料の仕入れ原価と外注費を引いたものが、おおむね付加価値となります。
工場内の人件費や諸経費は、会計理論上、売上原価を構成するので、この部分は商業と工業(製造業)で、若干意味が異なってきます。

以上をまとめると、商業であれ工業であれ、

「売上高-仕入原価(商品または材料)-外注費」=付加価値

であり、この国レベルの集計額がGDPとなる、ということをご理解いただければいいでしょう。

いずれにせよ、景気は緩やかながら回復しているよ、というのがこの時の報道の要点です。

ただし、一点、気になるところがあります。

景気が良くなれば物価は少しずつでも上昇します。

まさにアベノミクスが目指しているゆるやかなインフレの兆候が見えています。

しかし、それ以上のペースで賃金が上がってくれないと、わたしたち庶民の生活はよくなりません。

たとえば、月給50万円の世帯が1%上昇して5,000円の給料アップになっても、生活に必要な消費財が3%アップして、50万円×3%=15,000円も値上がりしたらどうなりますか?

「5,000円くらいの賃金アップじゃ、足りないよ~」という、サラリーマンの方々の恨み節が聞こえてきそうです。

そうなんです。

たとえ、1%賃金が上がっても、3%の物価上昇があると、1%-3%=マイナス2%というかたちで、生活が厳しくなるのですね。

このような状況を、「実質賃金が下がった」といいます。

消費税率アップが、物価上昇に強制的に影響を及ぼしていることは、もう周知の事実ですね。

でも、この物価上昇は、まやかしです。

だって、消費税アップ分はぜんぶ税金として、国庫に収めなければならないので、企業はちっともうるおいません。

だから、安倍政権下でやっきになっていわれているのが、従業員の賃金上昇の促進です。

でも、消費税と無関係な輸出企業ならともかく、消費増税の影響をまともに受ける国内企業、とくに中小企業は無理っしょ。

したがって、あいかわらず、格差はいまのままでは、縮まりません。

2014年4月の消費増税が諸悪の根源です。

じっさい、昨年後半に消費税の再増税を2年延期する、といったから、今のような景気の持ち直しがあるんですよ。

もしも、消費再増税の延期がなければ、今頃悲惨だったです。

知ってか知らずか、そのことを、なぜか、どの新聞も言ってませんね。

消費増税は当面、しないのが正解だと思っています。

むしろ、5%に戻して、社会保障費の無駄使いを本当に見直して欲しい、と思うのは私だけでしょうか。

高齢化社会だから、医療費や社会保障費の増大はいたしかたない、とか、どんだけ若者をいじめるんだよ、って話です。

家庭も子供も安心して持てないと思っている若者が増えていないことを祈るばかりです。
賃金上昇を伴わないインフレは、特に支出ニーズが旺盛な20代~40代の世帯にとっては辛いと思います。

金は天下の回りもの、とはよく言ったものですね。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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