方法(タイプ)別 コミュニケーションの特徴【前を向いて歩こう162】
前を向いて歩こう、今回は「タイプ別コミュニケーションの特徴」というテーマでお話をしたいと思います。
普段、私たちは人とコミュニケーションを取るときには「相談をする」や、情報の提供や共有をすることがあります。
そのときに、あなた自身がカウンセラー的な立場で相手の悩みを聞いてあげたり、コーチング的な立場で、本人の生産性を高めるために話を聞いてあげる場面もあると思います。
プロのカウンセラーやコーチになれとは言いませんが、自分なりに意識して相手の話を聞いて共感してあげるというプロセスを踏むだけでも、あなたの職場での人間関係の悩みがずいぶん減ります。
カウンセリングやコーチングのテクニックを教養として少し知っておくのもいいかなと思います。
カウンセラーやコーチとしてコミュニケーションを取るときによく使う手段が3つあります。
その3つの方法について特徴を知っていただくと、そのときの状況に応じて適切なコミュニケーションの手段を選択して、よりよい関係を作り上げるのに役立つかもしれません。
まず1つは「面談」です。
相手と顔を突き合わせて話すことです。
柴山式の講義ならば、動画です。
私の顔を見て、板書を見て、音声も聴いて学習するということです。
2つ目は「電話(音声)」です。
柴山式の講座でいうと音声CDになりますが、相手の声だけが拠り所です。
3つ目は「メール(文字)」です。
柴山式の場合は「メール相談」や「メール質問箱」に該当します。
カウンセリングの場合は、この3つのうちのどのタイプのカウンセラーもいらっしゃいます。
コーチングの場合は、「面談」と「電話」になります。
会社との契約になりますので、コーチがメールだけで関わるということはまずありません。
基本的には面談または電話で社員の方とやり取りをしながら、補完的にメールを使うことはあるかもしれません。
カウンセリングはパーソナルを扱っているので、相手の状況に応じてどれもあり得るのです。
面談は相手の表情や仕草がすべて見えることが特徴です。
目と耳の2つを使うので、最も情報量が多いのです。
相手の仕草によって「これはもしかしたら嘘をついているかもしれないな」、「本当は嫌々かな」、「いったんこの場を去りたいのかな」、「時間を気にしているのかな」というような、相手の気持ちを察することができます。
そういう意味では有利ではあるのですが、デメリットもあります。
私たちの脳は1つしかありませんから、目と耳の両方から情報が入ると、大抵どちらかが優位になります。
視覚情報が優位になるケースだと、相手の話に対する集中力は落ちてしまいます。
耳だけに集中する場合に比べて音声情報の取り込み方が弱くなります。
人間なのでこれは仕方がありません。
2つ以上のことを同時にできるのは聖徳太子ぐらいです。
普通の人間は2つのことを同時にできませんから、どちらかが優位になってしまうのです。
あとは、その人のタイプによっても効果的な勉強法が違ってきます。
視覚情報のほうが学習内容が入りやすい方もいらっしゃいますし、ラジオ講座のように音声だけのほうが集中できるという方もいらっしゃいます。
あるいは、実際に手で触ったり実践しなければわからないという方もいらっしゃいます。
ともあれ、情報量は一番多いので、面談は基本となります。
しかし、電話による音声のやり取りも侮れません。
実は、私のコーチングはほぼ電話で行います。
電話のいいところは、場所を選ばないことです。
面談だと日時と場所まで指定しなければいけないので、日程調整などの擦り合わせが結構大変です。
しかし、電話の場合は、お互いが近くに住んでいる必要がありませんし、面談のためにわざわざ出張する必要もありません。
電話料金は多少かかりますが、現在はスカイプという手段もありますし、相手がどんなに遠方に住んでいようがコミュニケーションがすぐに取れるので、電話には場所を選ばないというメリットがあるのです。
そして電話のもう1つのメリットとして、相手の声だけが唯一の拠り所なので、耳だけを集中させて、相手の声から感情や何を考えているのかということがわかりやすいということがあります。
“アンテナ”を1つに絞るので、感度が上がるのです。
それによって、面談では気づかなかった相手の意識の変化がわかるようになります。
耳で聞くことに集中できるので、情報の吸収力が高まることもあるのです。
それ以外にも、「聴く力」が高まります。
これはとても大きい効用です。
私がコーチングの研修を受けた「コーチ・エィ」というところは、ほぼ電話でコーチングセッションを行います。
みんなで顔を合わせて集合研修を行うこともありますが、基本は電話なのです。
なぜかというと、どこにいてもできるからです。
コーチングというのは電話でほぼ足ります。
相手の声の調子や、沈黙や、話のペースである程度のことがわかりますし、それで充分なのです。
コーチング研修プログラムの基礎部分は半年ぐらいで終わるのですが、それをやって半年後にはほとんどの方に聴く力がつきます。
半年間やっていると、相手の話をじっくり聴く習慣が身に付きます。
私も「昔に比べて話をよく聴くようになった」と言われます。
昔の私は自分の言いたいことばかりを言っていて、まったく人の話を聴きませんでしたが、コーチングをやったおかげで相手の話を途中で遮らなくなりました。
あなたのコミュニケーション能力を高めるには、電話でカウンセリングやコーチングをしてみるのもいいです。
まずは相手の話を遮らないというのが大事です。
最後まで相手の話を聴いて、受け止めて、共感するというステップは電話で身に付きます。
相手の顔が見えない分、電話のほうが気楽に話せることもあります。
顔が見えると、「視線をどこに合わせたらいいか」や「自分の今の態度を相手はどう思っているか」などと考えてしまうと緊張してしまいます。
電話だと情報が適度に制限されるので、一番いい方法なのです。
面接にもメリットはありますし、ケースバイケースですが、自分の仕草など、すべての情報を与えないけれども、音声でかなりの部分が伝えられるので、電話はちょうど良いのです。
そして、3つ目の「メール」にもすごくいい点があって、個人的な悩みを相談するカウンセリングの場合にはメリットがあり、メール専門のカウンセラーもいるくらいです。
メールの特徴としては、まず時間の拘束がないことです。
面談と電話の場合は「何時にしましょう」というように、相手の時間を拘束しなければならず、お互いのスケジュールを合わせる必要があります。
つまり、面談や電話は相手にペースを合わせなければいけないのです。
その点、メールはスケジュール調整がほぼ必要ありません。
空いた時間でメールの送受信ができます。
ちなみに、コーチングの世界では、メールはできるだけ24時間以内に答えてあげます。
メールを送って1時間以内に返信がきたら嬉しいでしょうから、早いほうがいいと言われています。
しかし、もらってすぐに返信する必要はありません。
空いた時間に返信すればいいので、比較的時間の拘束がありませんので、メールでのカウンセリングは結構あるのです。
コーチングをする場合には、その後のコミュニケーションを取るのにはいいです。
自分のペースで文章を書けますし、相手の顔を見ないで書けるので本心が語りやすいのです。
瞬間的に「こう言わなければ」というプレッシャーがないので、本心が書きやすいのです。
ただし、メールには注意点があります。
デメリットと言ってもいいのですが、文面だけのやり取りなので、誤解が生じる可能性があるということです。
たとえば「私は、今のあなたの考えとは違う意見です」という内容のメールを送るときに、面談や電話であれば、同じ内容でも少しきつめに言ったり、逆に優しく言ったり、そのニュアンスを声色で調整できますが、メールだときついほうに捉えられがちです。
メールは声色や表情で感情の補完ができないので、きつく言われているのか優しい気持ちで言われているのかがわからなくなってしまいます。
このように、メールには一長一短があります。
カウンセリングはメールで行える場合もありますが、コーチングの場合は会社との契約など、公の契約であることが多いので、メールだけでコーチが関係することはあまりありません。
上司と部下との関係でも、メールだけでは報告を済ますことができないのと同じです。
このように、「面談」「電話」「メール」にはそれぞれ特徴があります。
そのときの状況や目的、自分の性格、相手の性格に合わせて、3つのタイプ別コミュニケーションを使ってみてください。
あなたのコミュニケーションのレベルが少し上がるかもしれません。
ご参考になれば幸いです。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。