新日鉄住金株が7%高で2.38兆円、ポスコに近付く(日経13*4*11*13)

新日鉄住金の株価が4月10日の一日だけで7%株高となり、株式時価総額が2.38兆円とライバルの韓国ポスコ2.45兆円に近付いた、とのことです。

じっさいに、Yahoo!ファイナンスで確認してみました。

(参考)
http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=5401.T

4/9 の終値 234円
4/10の終値 251円
一日の値動き… 17円の上昇

したがいまして、17円/234円=7.26…%  となるわけですね。

ちなみに、このときの発行済み株式数は、9,503,214,022株となっていましたので、

時価総額は、

251円×9,503,214,022株=2,385,306.7百万円

と計算されます。

つまり、2兆3853億670万円です。

さすが、所属する業界も重厚ですが、金額も重厚長大です。

株式時価総額は、いってしまえば会社の純資産に相当する部分を時価で評価した金額と言えます。

会計上のバランスシート
資産(原価+時価) 負 債(原価)
純資産(原価+時価)

だいたい、会計上のバランスシートにおける評価は、以上のような構成になっています。

上級レベルの細かい面倒な例外はこのさい省略して考えるとして、だいたい企業の持つ資産(財産のイメージ)は、それを取得、または、それが発生したときの支出額=原価で評価し、一部の金融商品(株、デリバティブなど)を時価で評価している、とお考えください。

比率的には、8割以上が原価評価(過去に買った時の支出ベース)、2割以下が時価評価というイメージでいいと思います。

なお、たいていの場合、借入金や未払い給料などの負債は、それが発生した時の金額をベースにします。

負債の時価なんて、一般の事業会社では、常識で考えてなかなかお目にかかれるものではありません。

したがって、常識的に見て、負債はだいたい原価ベースです。

というわけで、一般的な会計ルールにおける純資産というのは、資産-負債=純資産という計算式で求められますから、

資産(原価8割以上+時価2割以下)-負債(原価)
=純資産(8割以上原価、2割以下時価)

みたいに、大部分が過去の支出・発生ベースの原価で評価されつつ、一部時価評価が混在しているような感じですね。

会計の世界では、このようにおおむね原価ベースで表示している純資産のことを「簿価純資産」といいます。

ちなみに、その会社を買収しようとした場合は、いったん、その会社が持っている資産を時価で評価し直します。

たとえば、会社が持っている資産の中に土地が含まれていると、土地というのは、歴史が古い会社ほど、首都圏の一等地などでも昭和30年代とか、めちゃめちゃ古い時に数百万円・数千万円ていどで購入していることなんかがあります。

これが今では、何億、何十億となるわけですから、含み益も莫大です。

これだけを見ても、原価ベースの資産をすべて時価ベースで評価し直したとしても、何億円もの資産評価の上昇が十分にありえますね。

買収用のバランスシート1(時価)
   資産(時価)   負 債(時価)
           純資産(時価)

このように、企業を買収しようとするならば、まずは第一ステップとして、資産・負債を換金価値である時価ベースに直すのが筋です。

そのさい、負債の時価はつかみにくいので、便宜上、原価のままとするケースが多いと思いますが、そのさいに、債務として確定していない引当金などは調整することがあるでしょう。

そのほかにも、換金価値のないもの等については、その取り扱いも含めて、評価の見直しをこの段階ですることになります。

しかし、これで買収価値が最終決定するわけではありません。

その企業を精算してもう事業をしないという場合ならば、この処分価格ベースの時価でもいいかもしれませんが、どっこい企業はこれから何十年も存続することを前提としています。

つまり、その企業を今後も運営することで将来得られるキャッシュがたくさんありますよね。

その、将来の儲けのうち、今時価評価してある分を上回ると考えられる、超過収益に相当する部分を、さらに上乗せして評価します。

ある意味、将来性とかプレミアムとかのイメージでいいでしょう。
これが無形の価値を生む部分であり、無形資産といわれたりします。

会計上は、じっさいにM&Aを行った場合などに出てくる「のれん」がもっともしっくりくる部分ですね。

買収用のバランスシート2(時価+無形資産)
 資産(時価)    負 債(時価)

 のれん等     純資産(時価+のれん等)

ここにいたって、やっと企業の最終的なM&Aベースの評価額が出てきました。

理論的には、株式時価総額は、この買収ベースの純資産の評価額にマッチします。

会社の支配権を全面的に獲得するための市場価値ですね。

この市場価値が、新日鉄住金について2.38兆円になった、というお話でした。

柴山塾で毎月、柴山が算定する企業価値も、この理屈をベースに提示させていただいています。

会社の価値を考える際の参考にしていただければ幸いです。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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