大和ハウスがコスモスイニシアを買収か(日経13*4*16*1)
(注)本文最後の「付記」もご参照ください。
今回とりあげた報道記事に関する4月16日時点での各社2社のリリースが出ています。
大和ハウス工業が、マンション分譲のコスモスイニシアを買収する、と日経一面で報じられていました。
ご参考までに、Yahoo!ファイナンスの企業情報をご紹介いたします。
株式会社コスモスイニシア
マンション中堅。旧リクルートコスモス。
再生計画に基づく再建進捗。
大和ハウスと業務提携(YAHOO!ファイナンスより)
早ければ今年の夏にも、大和ハウスが約100億円で第三者割当増資を引き受け、発行済み株式数の6割強を取得して、コスモスイニシアを子会社とする計画のようです。
アベノミクスで今、日本経済はにわかに活気づいてきていますが、そういった流れのひとつとして、不動産市況の回復を見すえ、マンション事業を拡大し、野村不動産など上位3社との競争力を高めようとする狙いです。
いっぽう、銀行による支援を受けてきたコスモス社は、大和ハウスのグループに加わることで、企業を成長させようとする戦略を選択したと考えられます。
16日にも発表すると記事では書かれていますので、16日中の発表があるのかもしれません。
ちなみに、第三者割当増資とは、従来の株主の持ち株比率を無視して行う増資のことです。
従来の株主の持ち株比率に従って株式を割り当てる増資の仕方を株主割当増資といいます。
四半期報告書の大株主の状況などを見ますと、大和ハウスは大株主として名を連ねていなかったので、今回の取得で一気に子会社化する、ということなのでしょう。
たとえば、持ち株比率ゼロ%あるいはそれに近いところからいきなり60%を取得するようなイメージですね。
ご参考までに、第3四半期(2012年12月)の資本金は50億円、純資産額は131億1700万円でした。
発行済み株式総数は15,632,603株ですが、そのうち3,150,000株が優先株式と呼ばれるもので、議決権がありません。
一般に、優先株というのは配当や会社を精算した時の残余財産の分配などで優先的な権利を持つが、議決権は持たない、などいった内容であることが多いです。
こういったこともあって、優先株数を引いた株数が、議決権のある普通株というイメージでだいたいよろしいでしょう。
※(参考)2012年12月31日現在の財務状況
コスモスイニシアB/S(百万円)
資産合計 50,052 負債合計 36,935
純資産合計 13,117 ←持ち主(普通株+優先株)
このような状態から、優先株式を100億円程度でコスモスイニシアが買入消却し、ほぼ同額の普通株発行により大和ハウスが払い込みを行って60%強の株式を取得するという計画のようです。
※2012年12月31日現在の財務状況
~もしも、大和ハウスが6割の株式を取得したら?~
コスモスイニシアB/S(百万円)
資産合計 50,052 負債合計 36,935
純資産合計 13,117 ←持ち主(普通株)大和60%
このように、純資産合計は130億円程度でほぼ変動がないですが、その内訳として、優先株式による払込がなくなり、その分を大和ハウスが取得して払い込みを行い、結果として議決権の6割程度を握ることになるという寸法ですね。
大和ハウスがコスモスイニシアをグループに含めることで、2012年のマンション供給戸数に関して、4132戸となり、上位4社の野村不動産(6181戸)、三井不動産レジデンシャル(5138戸)、三菱地所レジデンス(4975戸)、
住友不動産(4209戸)に続く第5位まで、シェアを伸ばしてくることになります。
マンション事業の規模を拡大するための戦略として、今回のM&Aが大きな役割を果たすことが期待されていますね。
<付記>
なお、本メルマガを配信する直前(4月16日午前8時30分ごろ)、コスモスイニシアのホームページを確認しましたところ、上記ご紹介した記事の報道について、コメントが発表されていました。
http://www.cigr.co.jp/irinfo/information/uploads/ir_news_130416.pdf
※INFORMATION2013.04.16IR・お知らせ
「本日の一部報道について」
「…現時点で開示すべき具体的な決定事項はありません。」
とありまして、今後、開示すべき事実が決定した場合はすみやかに公表する旨、リリースされていました。
大和ハウスのホームページでも、同様の趣旨のリリースが出ていました。
http://www.daiwahouse.co.jp/release/pdf/release_20130416.pdf
日経朝刊の記事と読み比べながら、いろいろとこのあたりの経緯を見ると、興味深いですね。
まだ4月16日午前8時30分時点では、未確定とのこともあるようですので、今後の動きに注目していきたいところです。