金利低下で、社債発行が活発化(日経13*4*9*1)
アベノミクスといわれる現象などにより、株価高、円安に伴う好況感が、企業の資金調達を後押ししているようです。
日銀の金融緩和にともない、企業が相次ぎ社債発行に動きだす流れがおきています。
新聞の報道によりますと、4月中に日産自動車とNTTが1000億円の社債を発行、近畿日本鉄道が400億円、日本製粉が100億円と、あいつぎ大規模な起債を計画しています。
社債の償還期間(返済期間)は、だいたい5年前後が多く、長いもので10年くらいのものもあります。
一般に安い支払い利率で発行できるので、資金調達コストが低く抑えられるというメリットがあります。
そのほか、銀行融資などに比べて経営への干渉が少なく、マネジメントの自由度が高いと言えるでしょう。
なお、株式投資なら、いまどきの出資者はさらにいろいろとチェックが厳しそうですね…。
現在は、長期金利が低下しており、円安によって業績改善が期待できる企業にとっては、社債発行をするさいに、非常に良い条件がそろっています。
【基礎知識】
社債の意味と貸借対照表への表示
社債とは、企業が債券を発行して行う長期資金の調達方法です。
社債の発行価額は必ずしも満期日における償還額と同じである必要はなく、割引発行(額面金額よりも安く発行)することもできます。
割引発行の場合、発行金額と額面(償還額)との差額は、金利の上乗せ分となります。
会計処理の基本は次のとおりになります。
・発行時は、発行価額で社債という負債を貸方(右側)に計上する。
(例)
×1年1月1日に、額面10,000円の社債を発行価額9,070円で割引発行して、現金を受け取った。
なお、利息の支払いはないが、償還は2年後、実質利回りは年5%とする。
<仕訳>
(借方) 現金 9,070円 (貸方) 社債 9,070円
貸借対照表
現金 9,070円 社債 9,070円
このように、額面10,000円ではなく、発行時には、現金収入額をもって社債の計上額とする点に、注意しましょう。
一般に、社債は2年を超える期間借りていることが多いので、固定負債と言って、しばらく返済しない負債の区分に表示されます。
決算日の翌日から一年以内に返済期限が来るなど、すぐに決済・消滅するような負債は流動負債と言います。
支払手形や買掛金は営業サイクルの中ですぐに消滅するので、かならず流動負債の区分に表示されます。
借入金や社債などは、返済(償還)まで一年を超えるものは固定負債に表示し、返済(償還)が翌期首から一年以内となったものについては、流動負債として表示されます。
このような社債による資金調達が、今、金融緩和に伴う長期金利の低下などにより、活発になってきているというお話しでした。