ROEの世界標準20%~(日経13*4*3*13)
4月3日の日経朝刊13面は、「いまどきの優良企業」と題して、「ROE」について考察するコラムが出ていました。
株式投資を行うときに最も重要な指標の1つとなるのが、この「ROE」です。
【基礎知識】
ROE(Return On Equity)
自己資本利益率と訳します。
計算式:当期純利益÷平均自己資本※
※平均自己資本=(期首自己資本+期末自己資本)÷2
かんたんにいうと、「バランスシートにおける株主の持分」に対する、当期の最終利益の比率ですね。
株主の持分は、会社の立場でいえば総資産からだいたい負債を引いた残りですので、株主から預かっている財産であり、返済不要の部分です。
株主の立場からすると、会社に預けてある財産であり、投資した額と言えるでしょう。
会社に投資している金額に対して、配当の財源として当期に稼いだ利益が何%あるか、を見るのがROEなんですね。
なお、当期の利益に対して、平均自己資本の額を割っています。
なぜ期末の自己資本の額を使わないのか、について考えてみましょう。
そもそも利益というのは、期末に一気にドーンとでるものではなく、期首から期末にかけて徐々に発生してたまっていくものだから、期首の資本から少しずつ積み上がって、期末の資本に至ると考えます。
期首→→→→→→→→→→期末
利益10→20→……→→90→100!
となれば、期末の自己資本残高だけを計算式の分母(÷の右側)におくのではなく、期首の自己資本もおおいに利益の発生に関与しているということで、期首と期末の平均を用いよう、という趣旨なのですね。
ここ、結構大事な考え方なので、じっくり検討してみてください。
さて、では日経新聞に出ているランキング上位から、1位のリニカルを例に計算してみましょう。
1位:リニカル (百万円)
期首自己資本 : 1,081
期末自己資本 : 1,391 (第3四半期末時点)
合 計 : 2,472
平均(合計÷2) : 1,236 …A
予想利益 : 570 …B
ROE(B/A):46.1165048…%→46.1%
46.1%はたしかに非常に高い数字ですね。
なお、ROEが高くても、自己資本比率があまりに低い場合は、借金過多で自己資本が少ないため、ROEが計算式上、大きく出てしまうことがあります。
したがって、自己資本比率との兼ね合いでROEを見るのがより望ましいです。
この点、リニカルの自己資本比率は58.5%と非常に高いですから、財務体質的にも外観上は問題なさそうに見えます。
日本を代表する株価指数の採用企業は平均してROE6%前後と、米英の28%や国際平均の22%と比較して、とても低いと紙面では指摘されていました。
個別企業では海外企業とそん色のない会社もあるようです。
個人的には、ROEを余りに重視すると、比率を上げるためにリストラなどのだいたんなコストカットをする傾向が強くなるので、従業員にとっては良い面ばかりと言えないかもしれませんね。
主に株主や投資家の方を向いた財務分析指標とイメージしておけばよろしいでしょう。