インドネシア、賃上げ要求デモで企業に圧力(日経12*11*5*7)・ パナソニックが特許資産規模3年連続首位(日経12*11*7*11)
(1)インドネシア、賃上げ要求デモで企業に圧力(日経12*11*5*7)
日本企業の進出が活発になっているインドネシアに置いて、賃金引き上げや待遇改善を求めた労働者の抗議活動が非常に活発になっています。
首都ジャカルタでは、10月下旬に労働組合が最低賃金の前年比83%増=約280万ルピア(約23,000円)引き上げを要求しました。
2000人規模のデモを動員したとのことです。
この結果、200万ルピア程度への引き上げが容認されるだろうとみられる動きに発展しています。
トヨタが主力工場を置く西ジャワ州カラワンでも労組連合による要求額が260~300万ルピアに上がったと報じられています。
ちなみに、月2万円程度の賃金水準は、日本で言えば昭和30年代ごろの状況に近いのではないかと思います。
公務員の初任給に関する価格史の史料が手元にあるのですが、これによると
昭和34年:10,200円
昭和40年:21,600円(値段史年表 朝日新聞社)
と、この間、6年で賃金が2倍以上に増えていますね。
平均給料をざっくりと初任給の2倍前後と考えれば、だいたい昭和30年代の給料事情と今のインドネシアが整合する気がします。
では、このころ労使関係でどんなことがあったのでしょうか。
昭和34年に三池闘争という大規模かつ複雑なできごとがありました。
Youtubeで、今の日本では考えられないような殺気立った闘争の貴重な動画がみられます。
この一連の闘争では殺人事件にまで発展しています。
細かい話をすると、この事件の背景には、国内産の石炭から石油や輸入石炭への燃料需要シフトという別の大きな経済要因が絡み合っているので、ひとくくりにインドネシアの今回の案件とは同一視できません。
ただ、経済が急成長している時には、労使関係で大きなひずみが出やすい、あるいは労働者に甘いささやきとなる主義主張が強くなりやすいという時代の法則を知っておいて損はないと思います。
1954年頃といえばいまからほぼ半世紀前。
歴史は繰り返すといいます。
国の違いによる調整は必要ですが、待遇改善を求める労働者の組織だった行動が、国家レベルの騒動に発展する危険性をはらんでいることを、今一度歴史に学ぶ必要があるでしょう。
なお、会計上は、賃金・給料は、その発生場所によって、費用の表示場所が変わります。
(損 益 計 算 書)
売上高 ×××
売上原価 △××× ←工場で働く人の賃金
販売費 △××× ←販売員、営業所などの人の給料
一般管理費 △××× ←本社・管理本部などの人の給料
営業利益 ×××
製造(工場)か、営業か、管理か、その人の属する職種によって損益計算書上の費用の表示場所が変わるというのも、なかなか興味深い話ですよね。
(2)パナソニックが特許資産規模3年連続首位(日経12*11*7*11)
2011年に特許庁に登録された特許を対象に、企業が保有する特許の価値を示す「特許資産規模ランキング」を、パテント・リザルトというところがまとめました。
それによると、パナソニックが3年連続で1位、東芝が2位、三菱電機が3位と、電機大手が上位を占めています。
つづいて4位がトヨタ、5位がキャノンだそうです。
特許資産価値トップのパナソニックが2013年3月期の連結最終赤字7,650億円を見込んでいるのですから、特許資産の価値が高くても、かならずしも業績を保証するものではないんだな、と考えさせられます。
宝の持ち腐れとならないよう、その経営資源の有効活用の仕方が今後問われるでしょう。
特許などの知的財産は、その権利取得に要した支出額などをバランスシート(貸借対照表)の「無形固定資産」というところに表示します。
(貸 借 対 照 表)
(資産) (負債及び純資産)
流動資産
現金預金
固定資産
有形固定資産
建物
無形固定資産
特許権
ちなみに、特許権や商標権などの権利は建物や備品などと同じように償却されます。
無形固定資産の場合は、簿記のテキストでは「償却」と言って「減価償却」とはいちおう区別します。
現物の摩耗などがあるから「減価償却」と同じ取扱いであると考えて頂いてよいでしょう。
償却年数は、商標権が10年、特許権が8年です。
以上、無形固定資産に関するお話しでした。