パナソニックが7,650億円の赤字見通し(日経12*11*1*1)
パナソニックが10月31日に決算発表を行い、通期「2013年3月期」で7,650億円の最終赤字になるとの見通しを示しました。
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/2012/10/jn121031-3/jn121031-3.html
日経新聞の1面で大きく報じられています。
つまり、「日本経済に大きな影響を及ぼすニュース」であると日経新聞側が判断したということですね。
このとおりいくなら、昨年の7,721億円に続き、2年連続で7,000億円を大きく上回る巨額の赤字計上をすることになります。
5月11日に行った2012年3月期の決算発表では、通期の業績予測が最終利益500億円でしたので、この間、わずか半年で8,000億円もの利益減少要因が浮上したことになります。
かつて、ここまで業績を激変させるような環境変化があったでしょうか。
おそらく、10年以上前には考えられないような状況です。
現在の企業を取りまく経営環境がいかに速いスピードで変化しているということを、私たちにまざまざと認識させられます。
具体的な減益要因につきましては、決算短信における「2012年度 通期の見通し」などから、次の点が読み取れます。
1. 営業利益は1,400億円の黒字予想(当初は2,600億円の黒字予想)
2. デジタルコンシューマー商品の市況悪化などで大幅な減収
3. 新興国の景気減退も売り上げ減に影響を与える
4. 営業外費用として、第2四半期にのれん・無形資産の減損損失などを含む事業構造改革費用の計上などで4,400億円の減益となる。
5. 現状の業績悪化を踏まえ、将来の黒字を前提として計上されている繰延税金資産4,125億円を2012年度(2013年3月期)の第2四半期に取り崩した。
…いかがですか?
これを見ただけでも、
「のれん」
「無形資産」
「減損損失」
「第2四半期」
「繰延税金資産」
日商1級レベルの上級簿記用語のオンパレードです(苦笑)。
ほんと、日経新聞の会計記事って、年を経るにしたがって、どんどん難しい会計用語がたくさんでるようになりましたよね。
けっきょく、「これだけ赤字業績が続くと、今後も大幅に業績が回復するかどうかわからないから、今年は多くの資産の評価を下げておく必要があるんじゃないの?」ということで、のれんや無形資産や繰延税金資産といった会計特有の資産評価額をバシバシ切り落として損失を出していこう、というコンセプトです。
それがあわさると数千億円もの利益の下方修正につながるのですから、今の会計ルールは恐ろしいです。
ここからが、パナソニックの正念場ですね。ぜひ日本経済のためにも、がんばって「V字回復ふたたび」となってほしいところです。
ちなみに、この発表の翌日11月1日に、ヤフー!ファイナンスでパナソニックの株価をみてみましたら、案の定…
前日終値 514円 (10/31)
始値 414円 (09:33)
高値 432円 (09:44)
ストップ安 414円 (09:33)
出来高 97,137,800株 (11:30)
売買代金 40,811,124千円 (11:30)
値幅制限 414~614円 (11/01)
始値(はじめね)から、いきなりのストップ安。
投資家は、行動が早いですね~。
決算発表の価格に与える影響をまざまざと見せつけられた思いです。
ちなみに、ストップ安とは、証券取引所が定める値幅制限のところまで値下がりした状態をいいます。
値幅は、該当株の前日の終値を基に定められます。
これを超える「メーターぶっちぎり」の取引はできないのですね。
まあ、ある程度下がって、そこからさらに下がるとみんなが思ったら、さらに売り圧力が増してパニック状態…なんてことにもなりかねません。
株式市場のパニックは、経済にかなりの悪影響を及ぼします。
以上、パナソニックの業績予想の大どんでん返しと、その直後の株価の興味深い関係をご紹介させていただきました。