関東電化工業、減損損失などで最終赤字86億円(日経12*9*15*15)

関東電化工業は、14日に、次のような題名の発表を行いました。

「平成25年3月期連結業績予想の修正および特別損失の計上並びに配当予想の修正に関するお知らせ」

(ご参考)
http://www.kantodenka.co.jp/06ir/con04.htm

日経新聞にも同様の報道がなされていますが、通期の最終損益が86億円の赤字になりそうだ、とのことです。

前回の発表では9億円の黒字予想だったので、厳しい経営環境に苦慮されている様子がうかがえますね。

減益の原因としては、国内電機業界の構造不況の影響や世界的な景気減速懸念等もさることながら、次のような減損損失の計上も影響しているようです。

(同社のサイト内・発表記事より)
2.特別損失の計上
(1)事業用資産の減損損失の計上
水島工場電池材料事業(六フッ化リン酸リチウム)は、販売価格の低下等により継続的に赤字を計上しております。今後の販売計画等から将来のキャッシュフローを算定した結果、当該事業に係る事業用資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に従い、将来キャッシュフローの現在価値まで減額し、当該減少額32 億円を、平成25 年3 月期第2 四半期連結決算において、特別損失に計上する予定です。なお、当該事業については、構造改革により収益を改善し、今後も安定供給を行ってまいります。
(2)事業構造改善費用の計上
今後の収益改善を確実なものとするため、製造製品の選択と集中や固定費削減等の構造改革を断行するため、事業構造改善費用12 億円を、平成25 年3 月期第2 四半期連結決算において、特別損失に計上する予定です。
<引用元>http://www.kantodenka.co.jp/06ir/fr2012/gyosekiyosou20120914.pdf
減損損失とは、企業が所有する設備などの固定資産につき、将来の収益性の予想が悪化した場合などに、現時点で将来の収益性の低下を見積もって、できるだけ適切に現時点の固定資産の評価額を切り下げ、「減損損失」という名目の臨時の損失を損益計算書に計上・表示するという会計手続です。

企業のバランスシートにおける固定資産の残高が減少するとともに、損益計算書の特別損失という表示区分で同額が計上され、最終利益を減少させます。

バランスシート
(資産)         (負債)
固定資産 △100      ‥‥‥‥‥‥‥

損益計算書
‥‥‥
(特別損失)
減損損失       100
:
当期純利益     △100

減損損失は、臨時・異常な利益の減少原因です。

したがって、経常的な(=毎期生じる)損益である経常利益には影響しません。

ちなみに、減損損失を計上する可能性があるのは、機械や建物や器具備品などの設備関係だけではありません。

のれんのような無形固定資産も、減損会計の対象になります。

したがいまして、国際的な会計ルールのように、現行の日本のルールとちがって、のれんを償却しないような方法を採用している場合であっても、そののれんと関連する事業から、将来のキャッシュ・フローや収益が望めなくなると予想される場合には、決算日時点でのれんの評価を下げ、減損損失を計上する可能性も十分にあるのです。

日本の会計ルールでは、のれんは「償却」もするし、「減損損失を計上すること」もありますので、2種類の費用化の途がある、とご理解いただいていいかと思います。

以上、日経新聞や上場企業の決算でときどき見かける、減損損失に関する基礎知識でした。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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