沖電気、子会社の売上過大計上で決算報告に遅れ(日経12*8*9*9)

8月9日付で、沖電気(OKI)が次のようなタイトルのプレスリリースを出しました。

「当社海外連結子会社の不適切な会計処理および平成25年3月期第1四半期報告書提出遅延ならびに監理銘柄(確認中)への指定見込みに関するお知らせ」

→ http://www.oki.com/jp/ir/filing/2012/f12008.pdf

スペインの子会社で、不適切な会計処理があったため、約80億円の損失が発生する可能性があるとのことです。

原因は売上の過大計上です。

プレスリリースの内容を見ると、前年以前にも売上過大計上があったかもしれないということなので、過去の決算にさかのぼって修正する必要がありそうですね。

これは大変なことです。

当面の影響として、2012年4~6月期の第1四半期報告書が法定提出期限の8月14日までに提出できない見込みとなったため、東京証券取引所は8日付で沖電気を管理銘柄(確認中)に指定したと報じられています。

4半期報告書は、金融商品取引法により、決算日から45日以内に提出しなければならないとされています。

(参考条文)
金融商品取引法
(四半期報告書の提出)
第二十四条の四の七
  第二十四条第一項の規定による有価証券報告書を提出しなければならない会社(第二十三条の三第四項の規定により当該有価証券報告書を提出した会社を含む。次項において同じ。)のうち、第二十四条第一項第一号に掲げる有価証券の発行者である会社その他の政令で定めるもの(以下この項及び次項において「上場会社等」という。)は、その事業年度が三月を超える場合は、内閣府令で定めるところにより、当該事業年度の期間を三月ごとに区分した各期間(政令で定める期間を除く。以下同じ。)ごとに、当該会社の属する企業集団の経理の状況その他の公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定める事項(以下この項において
「四半期報告書記載事項」という。)を記載した報告書(以下「四半期報告書」という。)を、当該各期間経過後四十五日以内の政令で定める期間内(やむを得ない理由により当該期間内に提出できないと認められる場合には、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣の承認を受けた期間内)に、内閣総理大臣に提出しなければならない。

なお、上場廃止基準については、次のように概略を表にして説明したサイトがありますので、参考までにご紹介いたします。

(上場廃止基準概要 (一部・二部))…東証
→ http://www.tse.or.jp/rules/listing/stdelisting.html

上場廃止基準の例としては、
・株主数400人未満(猶予期間1年)とか、
・流通株式時価総額5億円未満(猶予期間1年)、あるいは
・有価証券報告書等の虚偽記載がある一定の場合、
・債務超過、有価証券報告書などの提出遅延、株式の譲渡制限、完全子会社化など、
具体的にいろいろとありますが、このうち提出遅延が問題になる案件ですね。

このニュース、いろいろと会計上のツッコミどころがたくさんあります。

たとえば…

1.売上過大計上の修正に関する会計処理
2.売掛金の変動にともなう貸倒引当金の見積り修正
3.国内企業の場合ならば、税務申告、納税額に与える影響
4.決算の期限と提出遅延の問題
5.配当の財源とタコ配当(会社法上)の問題
6.内部統制上の不備の検証。過去の監査意見形成過程への影響。
7.売上過大計上が財務分析に及ぼす結論の変化。
8.過年度の財務諸表の修正再表示の問題(新しい会計基準)
9.その他…

です。

日経新聞がこのときに注目したのは、これらの問題のうち、
4.決算の期限と提出遅延の問題です。

有価証券報告書とは違いますが、税法の規定で提出する書類としては、確定申告書がありますね。

法人税の確定申告期限は決算日から2カ月以内が原則なので、提出が遅れると、いろいろと面倒なことになります。

もう10年以上前の話ですが、私の顧問先ではないところで、税理士さんを雇わずに自力決算を組んでいた所、2期連続でうっかり期限後に提出してしまい、そのつぎに白色の申告書が送られてきてびっくりした、というケースがありましたよ。

期限に遅れると、さらに税額が増えますし、税務署からはルーズと思われて、調査の可能性も高まるでしょう。
(じっさい、その会社はその後、調査を受けています。)

税理士は専門家なので、提出期限を過ぎて申告することのデメリットを骨身にしみて知っています(当たり前ですね)。
しかし、個人で決算を組んでいると、あんがい夏休みの宿題モードでちょっと遅れて提出~、なんて事案もあったりします。

しかし、それは青色申告取り消しの原因にもなって、とっても痛い目にあうことがあるので、要注意ですね。

今の低成長時代、赤字になったときにその分を翌期以降の利益と相殺できない(繰越欠損の恩典が使えない)なんてことになったら、へたすると企業の存続にもかかわりかねません。

どんな書類であれ、不測事態の場合はいたしかたないにしても、出来る限り「納期を守ってしっかり決算」を心がけたいものです。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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