米欧企業の株主が、高額役員報酬にNO?(日経12*6*7*7)

アメリカや欧州の大手企業では、経営陣と対立する株主の発言力が非常に強くなっているそうです。

たとえば、米大手銀シティグループでは役員報酬案を否決、英国では保険大手アビバなどの大手のCEO(最高経営責任者)を相次ぎ辞任に追い込んでいます。

その背景には、長引く業績低迷などを背景に、それでも高額の報酬を受け取っている役員たちへの世間や株主の反発が無視できないほどに大きく膨れ上がってきている、という情勢の変化があるようです。

英国で注目を浴びた事例として、アビバがあります。

経営陣が、役員報酬でアンドリュー・モスCEOの報酬を264万ポンド(約3億2000万円)と前年に比べ7%増加するなどの議案を提出したところ、総会では54%もの反対票で否決されました。

5月8日にモスCEOが退任を発表すると、皮肉なことに株価が前日比5%アップするなど、市場が歓迎の意を表したともとれる現象が起きています。

このような事例はアビバだけでなく、米シティグループほかの名だたる大企業で、似たような事例があいついでいるそうです。

日本の社長の報酬は、欧米の同規模企業とくらべて10分の1ともいわれ、平均6000万円程度との試算も出ています。

これを参考にするなら、おそらく大企業の欧米の役員報酬は平均して6億円にも達するのかもしれません。

われわれ庶民の感覚からすれば、途方もない金額ですね。

生涯賃金がおおむね2~3億円ですから、平均的なサラリーマン3人分くらいの生涯賃金をたった1年でもらっている人がいると考えたら…。

ちなみに、会計的なことを申し上げますと、役員にかかる経費は、
「会社の全般を管理・統制する者のコスト」
ですから、売上原価の一部を構成することはありません。

社長がみずから現場に出て「製品をせっせと作る?」などということは、とても考えられませんね。

また、社長が店頭に出て行って「いらっしゃいませ~!」みたいに接客をすることもありません。

それをやるなら、年収はせいぜい数百万円ですから。

このような全社を管理する機能を、管理会計の世界では「全般管理機能」などと呼びます。

会社全般を管理するからこそ、会社全体の事に対して責任を負う立場にある。

だからこそ、責任の重さに比例して、報酬が大きいのだ、という理屈が一応は成り立ちますね。

損益計算書の表示としては、役員報酬は「一般管理費」という区分に含まれます。

営業利益を計算する過程で、売上総利益(粗利)から控除されるわけです。

とくに金融機関の報酬の高さは、目立つことが多いです。

その一方で、かのサブプライムショックなど、金融秩序の危機がひきがねとなって世界経済の足を引っ張ることがたてつづけにおきているものですから、世間の目が厳しくならざるをえませんね。

今後、世論も追い風となって、役員の高額報酬に対する反発がさらに強くなっていくかもしれないな、と思わせるような国際面の記事をご紹介しました。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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