7月の機械受注統計、前月比3.6%減の8056億円

内閣府が発表した7月の機械受注統計で、設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額が前月比で3.6%少なくなったそうです。

金額にして8,056億円です。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/1507juchu.html

市場予測は3.7%増だったので、予想より7%以上悪化したという見方もできますね。

なお、機械受注統計調査とは、機械製造業者の受注する設備用機械類の受注状況を調査し、設備投資動向を早期に把握して、経済動向分析するための基礎資料です。

これは、内閣府が毎月公表している経済指標の1つで、代表的な景気の先行指標となっています。

企業が生産量を増やすためには、設備投資すなわち機械の購入をして、生産能力のアップをはからなければなりません。

この機械受注は、企業の実際の設備投資よりも6カ月から9カ月程度、先行の指標と言われています。

かんたんにいえば、企業の設備投資は、次のようなステップを踏んで行われると考えられるのです。

(1)ある企業が将来の需要アップを予測
    ↓
(2)設備投資計画に、新規の設備購入を盛り込む。
    ↓
(3)機械メーカーに設備購入の発注をする(=機械設備の受注)
    ↓
(4)数ヵ月後に、機械設備を完成させる。
    ↓
(5)受注をした企業に、機械メーカーが製品を出荷する(=売上の計上)
    ↓
(6)企業に新規の設備が導入され、稼動開始!
    ↓
さらなる生産力のアップへ…

以上のプロセスのうち、じっさいに受注した機械メーカーの売上として損益計算書に計上されるのは、ステップ(5)出荷時であることが一般的です。

そして、今回のテーマとなっている機械受注の統計は、おおむね上記のステップ(3)設備購入の発注のタイミングにおける数値となって現れます。

よって、実際の売上データとして実体経済に影響する(5)と、その前の(3)とのタイミングの違いが、先行期間として解釈されるのですね。

この間、おおむね6~9カ月と言われています。

すなわち、機械受注の増加は、6~9カ月後の設備投資増加という実体経済の動きに先行する貴重な景気予測資料になります。

したがって、今回の内閣府発表による前月比3.6%減少という受注実績は、その半年から9カ月後の設備投資の3.6%ダウンを占う先行情報として捉えればいいのですね。

このように、毎月発表される機械受注統計は、半年以上先の景気のアップダウンを予想する重要データとして活用します。

ぜひ、近い将来の日本経済の行方を見通す一つのツールとしてご活用ください。 

(日経15*9*11*5)

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