ローム、テレビ関連の減損損失などで赤字拡大(日経13*5*3*13)

LSIや半導体素子などのローム株式会社が、5月2日に「営業外収益(為替差益)、減損損失の計上及び業績予想の修正のお知らせ」という題名で、財務情報を公開しました。

5月3日の日経13面(企業財務面)で取り上げられています。

内容は、以下の通りです。

1.業績予想(H25/3/31)を修正した。
・前回発表時の当期純損失の予想110億円を、524億円へと414億円の赤字拡大の方向で変更。

・その理由は3つ。
(1)営業外収益(為替差益)の計上
(2)減損損失の計上
(3)棚卸資産の評価見直しで売上原価が予定よりも増加

2.営業外収益(為替差益)の計上
・第4四半期(H25/1/1~3/31)における急激な為替変動(円安)により、為替差益53億円を計上する見込み。

3.減損損失の計上
・親会社および子会社が保有する固定資産について、将来の回収可能性を検討した結果、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減額した分を減損損失として計上した。金額は533億円。

(参考)ローム株式会社の発表内容
→ http://www.rohm.co.jp/documents/11401/712261/130502_J.pdf

営業外収益に計上された為替差益自体も、会員制で取り上げてもよさそうなテーマなのですが、なんといっても今回は533億円という、ほとんど赤字拡大の張本人ともいえる重要な業績変動要因であるところの減損損失について、その意味と計算プロセスについて、説明いたします。

【基礎知識】
減損会計

減損会計とは、固定資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった状態のときに実施する会計手続きです。

具体的には、その固定資産から得られる将来の回収可能な金額を算定し、その額と現在の会計帳簿上の固定資産評価額とを比較し、価値の下落分だけ、帳簿価額を減少させる会計処理です。

減少額は損益計算書の特別損失という表示区分に、「減損損失」という科目名で表示されることになります。

回収可能価額とは、文字通り、その固定資産から将来回収可能なキャッシュの金額とお考えください。

たとえば、期末の決算時点で1000万円の帳簿価額(会計帳簿上の評価額)となっている建物があったとします。

また、会社内に2000万円の留保利益(過去から蓄積されている利益)があるとしましょう。

       貸借対照表(一部)  (単位:万円)

建物 1000       繰越利益剰余金  2000

貸借対照表(バランスシート)に表示されている「建物1000」の意味を会計的にいうと、「その建物を過去に取得した時の購入金額から、当期末までに経過した分だけ老朽化した評価の減少分を差し引いた分、つまり現時点での会計上の見積もり中古価値は1000万円である」という感じになります。

見方を変えると、「将来、この建物を利用することで、1000万円を超えるキャッシュのリターンを得られると経営者は考えていますよ」という宣言ともとらえることができるのです。

将来得られるであろう期待キャッシュ・フローがその時点での資産評価額を上回らなければ、その資産を購入して使用する意味がないですから。

(棚卸資産だって100円と期末に評価したら、将来、それは100円以上で
売れると一般に判断されているはずですね。)

バランスシートの左側(借方)に並ぶ資産の金額は、現在の解釈では、おおむね、「その額以上のキャッシュのリターンが将来見込めますよ!」という宣言ととらえられているわけです。

だから、今、会社が持っている建物の評価額が1000万円というのならば、将来、その建物の利用または売却で1000万円以上のキャッシュ・フローが得られるという経営者の意思表示でもあるのだ、とご理解ください。

細かい話ですが、将来の使用に伴う収入の予測額を「使用価値」といい、現時点で固定資産を売却した場合に手元に入る収入予測額を「正味売却価額」といいます。

なぜ、このように二種類の金額を確認する必要があるかといいますと、「今、その設備を売却処分して現金を手にする」か、または「売却処分しないで将来も使用して現金を手にし続ける」か、いずれの方法がより多くのキャッシュを手にできるかを考え、大きい方の選択肢を選んだと仮定して、その固定資産の回収可能額を見積もることが合理的であろう、と考えられているからですね。

たとえば、上記の例で、建物を将来も使い続けるならば、おそらく廃棄処分までの○○年間で、450万円のキャッシュが回収できるだろうと見積もられ(使用価値)、また、当期末時点で固定資産を売却処分したら300万円しか現金が回収できないだろう(正味売却価額)と予想されたとします。

この場合、「使用価値」または「正味売却価額」のいずれか有利な方(大きい額の方)を回収可能価額と考え、450万円の使用価値を回収可能価額とします。
そして、固定資産の帳簿価額1000万円と回収可能価額450万円の差額、すなわち550万円を減損損失として損益計算書に表示したうえで、貸借対照表の利益剰余金(貸方=右側)を減少させます。

同時に、建物(借方=左側)の価値を1000万円から450万円へと、550万円減少させるわけです。

減損処理後の貸借対照表(一部)  (単位:万円)

建物 450       繰越利益剰余金  1450

このように、経営環境の変化などにより、将来における固定資産の収益性が下がると考えられる場合には、ロームのように、多額の減損損失を計上して、業績を単年度で大きく変動させることもあります。

減損損失という言葉、この機会に覚えておきましょう。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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