得意先元帳(3級・2級商業簿記)
今回は「得意先元帳」について解説します。
試験での出題頻度は高くありませんが、実務では非常に重要なもので、特に私はコンサルティング業務でよく使用しています。
実務で使うという観点からも、ぜひ理解しておいてほしい内容です。
レベルは3級で、重要度は星3つです。
得意先元帳とは、売掛金を統制勘定として管理し、相手先別に明細を記録する帳簿です。
まず、「統制勘定」という言葉の意味ですが、これは複数の関連項目をひとまとめに管理するための勘定科目のことを指します。
例えば、買掛金を統制勘定として使う「仕入先元帳」もその一例です。
仕入先がA社、B社、C社だとすると、それぞれの仕入先に対して「A社勘定」「B社勘定」「C社勘定」という勘定を使います。
このように、各取引先を個別に記録する勘定は「人名勘定」と呼ばれます。
得意先元帳は別名「売掛金元帳」とも呼ばれます。また、仕入先元帳は「買掛金元帳」と呼ばれることもあります。
本社の経理部では、総勘定元帳を使って「売掛金全体の残高」を管理します。
一方で、営業部や債権管理部など、販売に関わる部署では、売掛金の詳細を「相手先別」に個別に管理するために得意先元帳を使います。
このように、得意先元帳は取引先ごとの残高を把握し、請求書の発行や回収業務を行うために欠かせない帳簿です。
得意先元帳に記録された「相手先別残高」の合計が、総勘定元帳の売掛金の残高と一致することになります。
次に、簡単な取引例を見てみましょう。
例えば、X社に対して商品6,000円を出荷したとします。
この取引に対して、得意先元帳ではX社に対する売掛金の増加が記録されます。X社という取引先を示す勘定科目は「人名勘定」と呼ばれます。
会計ソフトでは、この得意先元帳を補助簿として管理することになります。