手形割引・裏書(3級・2級商業簿記)
まず、「手形裏書」についてです。
裏書とは、手持ちの手形の裏面に自分の名前と住所を記載し、それを他社に渡すことです。
この方法は支払い手段として使われることがあります。
裏書された手形は、いわば「使い回し」ができるため、これを「回し手形」とも呼びます。
次に「手形割引」についてですが、割引とは、手形を銀行に持ち込み、現金化することを指します。
しかし、ビジネスの観点から見ると、割引手形はあまり好ましくないとされています。
なぜなら、割引手形を利用することは、実質的に借入れと同じ扱いとなるため、「隠れ借金」として認識されることがあります。
私は会計士として、手形割引による資金調達はあまりお勧めしません。
手形割引が多いということは、会社の資金繰りがうまくいっていないということを意味するからです。
また、手形が絡んだ資金繰りのトラブルは非常に多く、手形はできるだけ使わない方が良いとされています。
手形は便利な一面もありますが、特に昭和時代のビジネス文化に根付いているもので、昭和から平成初期にかけては日本の資金調達市場が現在ほど発展していませんでした。
当時は、株式市場や他の資金調達手段が十分に整備されておらず、また銀行業務も今のように便利ではありませんでした。
たとえば、ネットバンキングもなく、銀行の営業時間は平日の9時から午後3時までと非常に制限されていたため、資金調達手段として手形が重要な役割を果たしていました。
現在、資金調達手段は多様化しており、クラウドファンディングなど、さまざまな方法が利用できるようになっています。
手形は紙の取引であり、取り扱いにリスクを伴うため、事故が発生することもあります。
手形による資金調達は、もはや一般的ではなく、特に電子取引の普及により、取引の方法が大きく変化しています。
しかし、会計の歴史や文化として、手形の仕組みを知っておくことは有益です。
関連する用語には、「受取手形」「約束手形」「為替手形」などがあります。
手形を受け取ると、支払期日(満期日)が数ヶ月後に設定されることが多く、その間は現金化できません。
そのため、手形による入金はあまり歓迎されません。
そこで、手形の所持人は、裏面にサインをして「裏書」することで経費の支払いに使用したり、期日前に銀行に持ち込んで割引してもらい、一定の利息を引かれた額を現金として受け取ったりすることができます。
裏書と割引は、いずれも「手持ちの手形の譲渡」として扱われ、会計処理では「受取手形勘定の減額」となります。
この内容は参考までに知っておいてください。