配賦基準(2級工業簿記)

今回は簿記ャブラリ第3章、「2級工業簿記」の「配賦基準」について学んでいきたいと思います。
この「配賦基準」という言葉は、製造間接費を各製品や部門に配分する際に使われるもので、試験でもよく出題されます。
また、工業簿記を学ぶ初心者の方々がよく悩む部分でもありますので、この機会にしっかりと理解していきましょう。

まずは、「配賦基準」の定義を確認しましょう。
配賦基準とは、製造間接費や加工費を各製品や部門に配分する際の「ものさし」や基準のことです。これを使うことで、直接的に集計できない費用を分けることができます。

ちなみに、製造間接費を使う際は、個別原価計算が多く、加工費については総合原価計算が使われることが多いです。
加工費とは、直接労務費、直接経費、製造間接費の3つを合わせたものなので、製造間接費の一部と考えると理解しやすいです。

総合原価計算は、個別原価計算よりも少し大雑把な計算になります。
個別原価計算における製造間接費、直接労務費、直接経費が合計されて加工費グループに含まれると考えてください。
つまり、製造間接費と加工費は重なり合います。

さて、配賦基準とは、これらの費用を便宜的に配分するための基準のことです。
よく使われる配賦基準の例としては、直接作業時間、機械運転時間、直接労務費、生産量などがあります。
試験でよく出題される順番としては、まず「直接作業時間」、次に「機械運転時間」、その次が「生産量」となり、直接労務費が出ることはあまりありませんが、念のため覚えておくと良いでしょう。

次に、具体例を見てみましょう。例えば、当月の製造間接費(個別原価計算)が120万円だったとします。
今月は製品No.10、No.20、No.30の3つの製品を生産しました。

この場合、例えば「直接作業時間」を配賦基準とした場合、各製品の作業時間は次のようになります
No.10:25時間
No.20:20時間
No.30:15時間
この合計は60時間です。この60時間を基に、配賦を行います。
実際の配賦率は、120万円 ÷ 60時間 で、1時間あたり2万円になります。

この配賦率を使って、それぞれの製品に配分すると次のようになります
No.10:2万円 × 25時間 = 50万円
No.20:2万円 × 20時間 = 40万円
No.30:2万円 × 15時間 = 30万円
このように、製造間接費がそれぞれの製品に配分されます。
この配分の基準、すなわち「ものさし」が「配賦基準」だということです。

ぜひ、この考え方をしっかりと覚えて試験に備えてください。参考にしていただければ幸いです。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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