月次損益、原価計算表(2級工業簿記)
今回は2級の工業簿記「月次損益」と「原価計算表」について見ていきましょう。
まずは「月次損益」です。この言葉は収益と費用に関連していて、2級の試験では重要な用語なので、重要度は星2つにしました。
では、月次損益の意味を見てみましょう。
定義としては、1ヶ月単位で行われる損益振り替えに用いられる勘定科目、つまり損益勘定のことです。
通常、損益勘定は1年単位ですが、1ヶ月ごとに振り替えるので「月次損益」と呼ばれます。
商業簿記では、年度の決算手続きにおいて決算整理仕訳が終わり、各勘定科目の残高が確定した後、収益・費用の項目をゼロにして損益勘定に集め、当期純利益を計算する仕訳を行います。
これを「損益振替仕訳」と言います。
一方、工業簿記では毎月きちんと原価計算を行います。
これを「完全工業簿記」と呼び、月次決算を行うのが基本です。
毎月の業績を計画的に確定し、経営管理のための資料を作成します。
管理会計という言葉もここに関連します。
月次ベースで損益を確定するプロセスとして、毎月売上や売上原価、販売費、一般管理費などの収益・費用の勘定を「月次損益」勘定に対してゼロにする仕訳を行います。
つまり、基本的には損益勘定と同じことを1ヶ月単位で行うのが「月次損益」です。ぜひ覚えておいてください。
次に「原価計算表」についてです。
これもテキストによく出てくる用語ですので、この機会に知っておきましょう。
2級レベルでは重要度を星2つにしました。
原価計算表の定義は、一定期間における製品ごとの材料費、労務費、経費の集計表です。
関連語句としては、補助元帳、仕掛品勘定、製造指図書などがあります。
製造原価は発生形態を基準に分類すると、材料費、労務費、経費の3種類に分けられます。
材料費は物品の消費額、労務費はその製品を作る人の賃金などの労働サービスに対する消費額、そして経費は材料費や労務費以外の費用を指します。
これら3つの原価を製品別に細かく集計したものが原価計算表です。
個別原価計算の場合は、特定の製造指図書ごとに材料費、労務費、経費を集計します。
一方、総合原価計算では継続的に製造を行い、各項目を整理します。
加工費は通常、直接労務費、直接経費、製造間接費に分けられます。
例えば、原価計算表を見ると、直接材料費が129、直接労務費が159、製造間接費が146で、原価の総額が234となります。
材料費はNo.1が50、No.2が44、No.3が35のように、一定の基準で分けられます。
この原価の配分が大事です。
直接労務費も合計59のうち、No.1が25、No.2が20、No.3が14で、製造間接費はNo.1が20、No.2が16、No.3が10のように振り分けます。
これを縦に足していくと、No.1は95、No.2は80、No.3は59となります。
もちろん、これらを足しても234になります。
製造間接費の合計46は、間接材料費、間接労務費、間接経費の合計であることも覚えておきましょう
。今回お話しした原価計算表の記載例は個別原価計算に基づくものです。
個別原価計算と総合原価計算については、また別の機会にお話ししたいと思います。