有形固定資産 減価償却方法のまとめ(サクッと学ぼう日商簿記1級の超入門 第4回)

減価償却費の計算方法

まず減価償却費の計算方法についておさらいです。ここではまず4つ示しておきましょう。
日商簿記3級2級1級で学ぶ減価償却費の計算方法です。

定額法

1番目は定額法です。
(取得原価-残存価額)÷年数または(取得原価-残存価額)×償却率です。

これはどちらもできるようにして欲しいです。年数で割るのか、償却率でかけるか。
もちろん期中取得、期中売却があったら月割り計算です。

定額法の特徴は毎年一定額を減価償却費としますので、ずっと行きます。
ストレートラインメソッドなどと言われたりします。直線型の減価償却です。

同じ金額が減っていきます。M&Aをする時はこの定額法が企業評価する上で公平だと言われています。

特に200%定率法は理論的根拠がないので批判されているのです。
定率法は最初の量が増えて意図的に減ってしまうので、企業評価するときに若干アンフェアだという言い方もあります。

実は会社独自に税法に合わせて定額法でやっている場合も、企業評価M&Aをするときは定額法に直したりすることもあるのです。

そっちの方が減価償却が適正だと。毎期一定の方が安定しています。

定率法

多くの場合、実務は税法で先に費用を多めにやった方が節税になるので、定率法はよく使います。
これは1級の話なので、実務的な話をしました。節税できるから定率法を使いたくなるのです。

200%定率法はまさに税法だから、理論的根拠は何もないです。
200%という意味はありません。最初から250%って、さじ加減で理論的根拠がないので、会計学の観点からこれはあまりやってほしくないです。

理論性がないから。これをもとに企業評価はできるわけがないので、厳密に言うと。これでやっている場合は定額法とかに直してください。
その上で評価しないとガチャガチャになって、お金を払えないってことになるので。

定率法は、期首の未償却残高×償却率です。従来の伝統的なものは残存価額を10%と想定していますが、税法に合わせると200%定率法っていう理論的じゃないけど実務はこれでやっているので、会計学的には仕方ないです。

理論的根拠がないので、あんまりやりたくないです。最初に加速させますから。
定額法の償却率×200%。これに何の意味があるのだと、そのときの都合だから、150%にしましょう、250%とか。昔は250だったのです。

ちょっと多すぎるだろうという発想もあるし、これはさじ加減なので、僕は個人に理論的根拠はないと思っています。

まだ定率法のほうがあります。新品のときからいろいろ価値が一気に下がります。
新品から2年目まで価値が下がるし、最後になればなるほど、5年後と6年後には差がないだろうということは、一応合理性があるのです。

普通の定額法は。200%定率法は計算根拠にそこまであるかと言うと微妙で、さじ加減で国の思惑でどうにでもできますから。

一番ストレートラインで定額法は分かりやすいです。3級は定額法、2級は定率法。200%定率法も2級でやります。

生産高比例法

3番目、生産高比例法、毎期の使用割合に応じて計算。これも2級でやります。

級数法

1級特有なのは4番です。今回これが対象になりますが、級数法です。
算術級数的というのが企業会計原則の言い方なのですが、数学的に5、4、3、2、1みたいに少しずつ割合が減って、一定の割合の減り方で少しずつ減価償却を減らす方法で1級の範囲です。

各計算方法の復習

これは本来の定率法の簡便法と言われています。ちょっと見ていきましょう。

定額法、定率法、生産高比例法、一気に見ます。もし2級の勉強をされている方はここだけ見ると2級の減価償却の範囲の総復習になります。

まず条件、車両10万円としましょう。耐用年数5年です。残存価額が0としましょう。
定率法なら10%の残存価額です。2番の定率法だけ10%とみなしましょうということです。

総利用可能量が10万キロ、当期使用量3万キロ。10分の3、これは生産高比例法向けです。期首に取得して1年目の決算で減価償却です。

定額法

定額法100,000÷5年で20,000円です。または5年だと0.2だから、10万×0.2で20,000円です。
定率法は5年の場合は0.369のはずなので、100,000×0.369です。

これはネットでも調べられますし、耐用年数表というのがあるのです。
これ税法で決められていますので、0.369で36,900です。200%定率法はまさに税法です。

政府のさじ加減です。100,000×0.4です。0.2の2倍です。何の根拠があるのだと、なぜ2倍なのと、会社によって状況が違うでしょう。

全く無視して全部200%はどうなのか。上場企業はやっているかというと、心ある上場企業の経営担当者は一律200%は眉をひそめています。

会社の状況を考えてさじ加減でいいのです。経理自由の原則です。

税法との兼ね合いで損金算入の問題でみんなやっているけど、考える経営経理になってほしいのです。

北海道の機械、沖縄の機械、新潟の機械、東京の機械、保管状況が違うから原価の状況が同じわけがないのです。屋外に出ているとか、完全に冷暖房完備しているという保管状況で耐用年数が変わりますから。全国一律に同じようにしているのは、税法の都合です。

税務否認すればいいけど、税務否認が面倒くさいから、中小企業ではもうしょうがないから。経理のおじさん、おばさんが専門的にわかるわけがない。

本当は独自にやるべきです。この機械をうちは5年と見積もった、隣の会社は6年かもしないけど、うちは5年だと主張するのです。これが本来あるべき姿です。

そんなことをやったら実務が滞ってしまうから、税法も税務当局も、何年か分からないので、5年とか6年と決めてしまうのです。減価償却はそういうものなのです。

定率法

本当は議論の余地はいっぱいあるのです。とりあえず国が定めるものでやっていきましょうということで、200%定率法です。

0.2の2倍、0.4×100,000で40,000です。大した意味ありません。
でも、新品のままだとまずいので一応やりましょうと。ほどほどの妥協点です。

生産高比例法

3番、生産高比例法、100,000×10分の3、イコール30,000円です。

級数法

3番目、いよいよ1級独特の論点です。級数法の計算方法です。
さっきの減価償却費は、要償却額がポイントです。取得原価-残存価額、通常0のケースが多いと思うので、取得原価イコールだけど、たまに10%ということもあるので、そしたら10%を引いて0.9掛けしてください。

これが要償却額です。×当期の項数/総項数、数学です。例えば5年の場合は、5、4、3、2、1と5+4+3+2+1というふうに、5、4、3、2、1の比率で減価償却費が減っていくイメージです。

5+4+3+2+1は、15です。ちなみに4年は10です。算数です。
4+3+2+1は10です。5年は15です。6年は21です。でも出るのは多分4年と5年です。
10か15が出ると思ってください。あとはそれプラスアルファ、4年で10と覚えればいいです。

3年だと6です。だから1年目は10分の5です、2年目は10分の4ですみたいな感じです。
計算例、備品は取得原価300,000円。残存価額0です。耐用年数5年だと10分の最初は5年です。級数法で減価償却をやってみましょう。

備品です。
①要償却額は300,000-残存価額0で300,000。総項数は5+4+3+2+1の順番で減価償却します。
最後は1です。15が計算の分母です。1年目は5、2年は4、3年目は3、4年目は2、5年目は1で、だんだん小さくなります。

1年目は15分の5で100,000です。2年目は15分の4で80,000、3年目は15分の3で60,000、4年目は15分の2で40,000、5年目は15分の1で20,000。100,000、80,000、60,000、40,000、20,000で最後ちゃんと要償却額が合います。

出たら100%取ってほしい、わりとやりやすい問題なので、大体3年目とかを聞かれることがあるので、そしたら過去のやつを見て3年目が15分の3ってやればいいわけです。

よかったらご参考になさってください。

まとめ

今回の授業のまとめに入りましょう。日商簿記3級2級1級で学ぶ減価償却費の計算方法です。
1番、定額法。(取得原価-残存価額)÷年数または(取得原価-残存価額)×償却率です。
毎年一定額を減価償却費とします。2番、定率法、期首の未償却残高×償却率で、これが伝統的な定率法です。これは残存価額10%とみなしているパターンです。

ここでは数学的な計算過程を省きますが、10%は昔のやり方なのです。
0の可能性もあるので、それもあって200%定率法があるのだけど、これは単純に定額法の償却率を2倍しただけです。

250%というのが過去にあったのです。2.5倍です。200%は償却率の定額法の2倍です。
あとは最後に償却率の調整があるけど今回はそこまでやりません。
それはまた別の機会にやりましょう。200%の償却法は2級でも出る可能性があります。
生産高比例法は、毎期の使用割合に応じた計算で、今回のテーマは級数法で数学的に少しずつ減価償却費を減らす方法です。

2番目、定額法・定率法・生産高比例法の復習です。定額法は100,000÷5年、100,000円の取得原価、5年の耐用年数、残存価額0、伝統的な定率法の10%としましょう。

総利用可能量10万キロで、当期使用量3万キロ、期首に取得して1年目の決算ということで、100,000÷5年で20,000。
あるいは5年は償却率0.2なので、または100,000に定額法の償却率0.2を掛けて20,000。定率法ならば伝統的には0.369なので、100,000×0.369で36,900、これは5年です。

200%定率法という税法に従ったやり方ならば、0.2の2倍で0.4、100,000×0.4で40,000。生産高比例法は100,000×30,000÷100,000キロで30,000となります。

あとは級数法について、例えば5年ならば項数が15です。5+4+3+2+1で15。15が分母、あとは各年度が新しければ5、一番古ければ1です。5、4、3、2、1と、少し難しい言い方をすると算術級数的に低減すると言います。

つまり、算数的に1個ずつ償却費率が減っていくやり方で、低減とは少しずつ減っていくということです。ということで減っていって最後300,000です。この計算を確認してみてください。

これが1級でたまに出ますので参考になさってくれればと思います。以上、今回は減価償却の1級レベルにつきましていろいろ話をしました。これをきっかけに皆さんが、1級の有形固定資産と減価償却について自信を持つ糸口になればいいなと思います。

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