損益分岐点比率

安全余裕率と並んで、損益分岐点の応用技術として重要な財務分析手法に、「損益分岐点比率」というものがあります。

損益分岐点比率とは、「損益分岐点売上高と実際の売上高との比率」のことです。

これがどんな意味かを持つか、といいますと、「現在の売上高が『○○%になっても』、まだ赤字にならない」という指標なのです。

安全余裕率の意味と並べてみてみましょう。

●安全余裕率  …今の売上から「何%下がっても」赤字にならないか?
●損益分岐点比率…今の売上が「何%になっても」赤字にならないか?

いかがでしょうか。

たとえば、今の売上が100として、損益分岐点売上高が80とすると、安全余裕率は20%((100‐80)/100)、損益分岐点比率は80%(80/100)です。

●安全余裕率  …今の売上から「20%下がっても」赤字にならない
●損益分岐点比率…今の売上が「80%になっても」赤字にならない

このように、簡単な事例で数字を当てはめてみると、理解しやすいですね。

ちなみに、前節の事例をここで利用しますと、損益分岐点比率は「損益分岐点売上高7200万円/前期の実際売上高8000万円=0.9(90%)」ですね。

なお、ここで一つ興味深い現象をお話しますと、「安全余裕率+損益分岐点比率=100%(1.0)」になります。

たしかに、安全余裕率10%と損益分岐点比率90%をたすと100%になります。

これは、「実際の売上高と損益分岐点売上高の関係」を、別の角度から見たにすぎない、ということを意味しています。

「A余裕額(800万円)+B損益分岐点売上高(7200万円)=C実際の売上高(8000万円)」という関係式を考えたとき、「A/C」が安全余裕率、「B/C」が損益分岐点比率です。

なお、損益分岐点比率は、低いほど望ましく、だいたい90%が全産業平均としての経験的な目安になると思います。

損益分岐点比率

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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