第156回日商簿記検定試験1級・2級・3級解答速報
2020年11月15日(日)実施の第156回 日商簿記検定の解答速報をご案内します。
日商簿記検定1級解答と講評
商業簿記
大問1問の総合問題ではなく、2問構成であった。
第1問の純資産会計は、株主資本等変動計算書を作成する要領で解いて行けばよく、比較的点数も取りやすいと思われる。
第2問は連結損益計算書の作成。
役務収益、役務原価の取り扱いと、コンサルティング会社への支払手数料の処理を間違えなければ、これも得点しやすい問題である。
会計学
第1問は、語句の穴埋め5ヶ所。少なくとも4ヶ所は正解したいところ。
第2問は、有価証券の金額を求める問題。何度も問われている論点であり、ここも点数を重ねたい問題である。
第3問は、文章の正誤問題。これも易しいので、5問中4問は正解できそう。
商・会ともに、18点以上を目標としておく。
工業簿記
第1問は、原価計算基準の語句の穴埋め。
ただし、この内容は、第2問のヒントにもなっている。
第2問は、材料費に関する小問4題。
材料副費の取り扱いについて、第1問を参考にすれば解きやすくなる。
第3問は、実際個別原価計算における労務費の計算4題。
かなり易しめの問題である。
原価計算
大問1問の構成
活動基準原価計算で、売上高営業利益率などを問われている。
こちらも、1級としては、かなり易しめの問題である。
工・原ともに、20点以上を目標としておく。
合計すると、最低でも18+18+20+20=76点となり、標準であるミニ例題をしっかりと身につけていれば、十分に勝負になった回であったと感じる問題であった。
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日商簿記検定2級解答と講評
第1問 仕訳5題(20点)
【目標16点】
今回は5題とも易しい。ただしミスやトラップには注意。
一つくらいのミスを考慮して目標は16点。
1. 不渡手形
必要以上に問題文を長くしているように思えるが、かかった費用をすべて不渡手形として処理するだけなので、実は易しい。
2. 仕入値引
選択肢にある「仕入割引」はひっかけ。
決済日の仕訳なので、仕入割引ではない点に注意する。これも易しい。
3. 貸倒引当金の損金不算入(税効果会計)
「税効果会計の適応にかかわる仕訳のみを解答すること」と注意書きがあるので易しい。
4. 火災による未決算
保険金の請求中で、まだ金額が決定していないので、火災損失はこの時点では計上しない。
これも選択しにある「火災損失」に惑わされないように注意する。仕訳自体は易しい。
5. 株式申込証拠金から資本金への充当
基本問題なので、易しい。
第2問 有価証券の総合問題(20点)
【目標12~15点】
柴山式の演習問題でも取り上げているが、有価証券の区分や処理方法については、確実に身につけておくべきテーマである。
債券の打歩発行や取得後の所有目的変更など、見慣れない処理が出ており、問題文および処理すべき量が時間のわりに多いため、
ある程度時間がかかることから、部分点を拾って積み上げ、なんとか6割以上をとりたい。
標準レベルの問題処理もあるため、目標は12~15点とした。
第3問 連結貸借対照表の作成(20点)
【目標12点】
P社の試算表が決算整理前なので、最初にP社の決算整理事項が必要。
それから、P社とS社の連結決算という流れになる。
なお、連結の一般的な実務では、試算表ではなく個別決算が全て終了した後の個別財務諸表から連結手続がスタートする。
したがって、本問は本来の実務を踏まえた問題というよりは、問題のための問題、いわゆるパズル的な試験問題として割りきって解くことになる。
出題形式が特殊なため、それに面食らってしまって難しく考えてしまう受験生が出ても仕方がない面もあろう。
なお、個別にみてみると、整理すべき事項に特別難解なものはなく、多くの処理が標準レベルといえる。
目標としては、出題形式の異質性を割り引いて考えると、6割程度の12点が目安となると思われる。
第4問 費目別計算と個別原価計算(20点)
【目標14点】
きわめて標準的な問題。
資料に与えられているのは月初有高と月末有高なので、丁寧に当月の消費量を計算していけば、正解にたどりつける。
計算ミスに気を付けて、目標は7割の14点。
第5問 直接原価計算(20点)
【目標16点】
社長と経理部長の会話の空欄を埋めていくという2級では珍しい出題形式。
1級では、この形式はよく出題される。
ただ、会話の内容から、解答を判断できるものばかりなので、易しい。
十分に満点取れる問題であるが、目標は8割の16点。
今回は商業簿記の目標点が16+12+12=40点、工業簿記の目標点が14+16=30点としている。
標準レベルの問題が多いので、時間配分に気を付ければ、70点は十分に狙える。
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日商簿記検定3級解答と講評
全体として標準的なレベルの問題で、合格率も平均的な30~40%台になると思われる。
第1問 仕訳5題(20点)
【目標16点】
1. 資本的支出・収益的支出
建物と修繕費勘定が与えられてはいるが、3級としては難しい。
2. 損益振替
易しい。
3. 手形借入金
テキストに記載のテーマなので、確実に取りたい。
4. 支払家賃・差入保証金・支払手数料
これもテキストに記載の通りなので、確実に取りたい。
5. 領収書から旅費交通費の仕訳を行う
問題文の指示通りに解けば易しい。
目標は、1を落としても16点取れるので、16点。
繰越利益剰余金の勘定記入(10点)
【目標6点】
配当の処理など、平成30年改正で加わった単元からの出題。
勘定科目も示されており、仕訳を思いつけばできる問題だが、戸惑った方もおられると思う。
目標は、問1、①、②が取れるので、6点。
ただ、この問題ができなくても挽回可能なので、それほど気にしなくて良い。
第3問 合計試算表(30点)
【目標24点】
過去にも似たような問題もあるので、ここで点数を稼ぎたいところ。
注意して取り組めば、比較的点数の取りやすい問題と言える。
目標は、8割の24点。
第4問(10点)
【目標8点】
問1 補助簿の選択(6点)
問2 伝票会計(2点)
問3 減価償却費の計算(2点)
補助簿の6点は確実に取ってほしい。
伝票も取引を擬制する方法でテキスト記載の通りなので取ってほしい。
減価償却計算も、取得時の付随費用を忘れなければ計算は易しい。
目標は10点としたいが、一つ落としても8点とする。
第5問 決算整理後残高試算表の作成(30点)
【目標24点】
決算整理事項の量もいつもと同じくらい、修正内容も標準的であり、点数も取りやすかったと思われる。目標は、8割の24点。
記載した目標点数を合計すると、16+6+24+8+24=78点となり、まだ8点の余裕が残る。
今回も、安定した標準難易度の回であったといえよう。
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