人名勘定と債権債務の関係

簿記検定3級ではあまり理論は出ないので合否に影響がないのですが、人名勘定というのを簿記3級で習うことがあります。

売掛金元帳や買掛金元帳といった補助簿で人名勘定が出ることがありますが、これは債権・債務の記帳で考えるとわかりやすいです。
これは借方・貸方という皆さんが苦手な言葉にも関係します。

たとえば柴山商店という会社があって、佐藤さんという取引相手がいるとします。
佐藤さんとは商売上の信用取引(貸し借り)があります。

左側は債券といって私たちにとっては貸したお金ですが、T字の頭に「佐藤さん」という名前を書きますが、この名前を人名勘定と言います。

元々は債権債務の管理のためにT字があると思ってもらうとわかりやすいです。
しかもこれは「佐藤商店」「田中商店」「伊藤商店」のように、お客さん1人ひとりに貸し借りを記録するために簿記があると考えるとわかりやすいです。

そうすると、佐藤さんなら佐藤さん、田中さんなら田中さんというように、Tの字の頭が人名勘定になります。

結果的に貸したお金が大きければ左側になります。
これが債権で、売掛金などです。

右側に仕入代金などの未払い(債務)を買掛金と言ったりします。
自分たちにとっては左が債権ですが、相手にとっては借りたお金です。

ということは、相手の立場で見ます。
佐藤さんにとっての借りたお金というのは、私たちが貸したお金ですので、私たちの売掛金は佐藤さんの買掛金です。

このように私たちの債権債務とは逆なので、相手ありきなのです。
これは簿記で短期合格を目指すときにはなかなか教えきれないのですが、そういうこともあります。

借方・貸方というのは債権・債務以外にも色々あります。
たとえば売上や建物など、色々な勘定科目が出てくるので貸し借りとは関係なくなってきます。

今は借方が左で貸方が右という「左」「右」ぐらいの意味しかないのですが、債権債務で考えると相手が借方なら左側で、相手が貸方なら右側というふうに考えるとわかりやすいです。

貸方残高は債務なので買掛金だったりすることが多いです。
では、取引例を見ていきましょう。

佐藤さんが5月1日に借方になります。
ということは、私たちはお金を貸します。

これは売掛金です。
5月1日に売上として佐藤さんに対して債権を持ちました。

佐藤さんは債務を持っているので借側になります。
借方に売上1,000となります。

これを仕訳すると、(借方)佐藤さん1,000 (貸方)売掛金1,000となります。
佐藤さんが得意先ならば売掛金という一般名称に転移しただけです。

佐藤さんとの関係で、佐藤さんが借側になります。
そして、5月30日は佐藤さんが4,000円私たちに対してお金を借りて、私たちは売掛金4,000円が生じましたが、その原因は売上です。

今回の商売の条件として20日締めで翌月15日払いとします。
そうすると、5月1日の1,000円は6月15日に回収します。
5月30日は20日以降なので7月の回収となります。

そうすると、いったん5月1日の1,000円と5月30日の4,000で合計5,000円の債券を持ちます。

佐藤さんから見ると借方として5,000円です。
私たちは貸していて、佐藤さんは借りています。

貸借平均の原理といって左右は合わせるので、右側も繰越5,000にして穴埋めします。
そして6月1日にその5,000を左側に繰り越して、5,000だけ佐藤さんの借方になっています。

そして、6月15日に5月1日の1,000円について20日までに売り上げたので、1,000円だけ回収しました。

ということは、佐藤さんがお金を右側に渡してくれたので貸方になりました。
6月15日の仕訳はどうなるかというと、(借方)現金1,000 (貸方)佐藤さん1,000になります。

その結果、6月18日の売上3,000はどうなるかというと、(借方)佐藤さん3,000 (貸方)売上3,000となります。

佐藤さんが得意先なので売掛金という言葉に変えるわけです。
個人個人の明細表が人名勘定だと思っていただくとわかりやすいです。

これを全部統合したものが売掛金という勘定です。
債権債務の記帳と考えると、借方貸方の意味がわかってきます。

しかし、今は債権債務以外にも勘定はたくさんありますから、左側が借方で右側が貸方というふうに少しずつ意味が変化してくるのです。
ぜひ参考になさってください。

私はいつもあなたの簿記検定3級合格、そして簿記の学習を心から応援しています。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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