貨幣の時間価値とリース資産(ファイナンスリース)の計算について

日商簿記検定1級の中・上級レベルになってくるとよく出てくる貨幣の時間価値や、将来の割引現在価値といったものを会計で応用している場面について一緒に考えてみたいと思います。

そして、簡単な計算事例としてファイナンスリースのリース資産の算定について考えてみましょう。

まず、貨幣の時間価値を用いる事例として、パッと私が思いついた事例を5つ挙げてみました。

1.貸倒引当金の設定(キャッシュフロー見積法)
2.ファイナンス・リース
3.減損会計(使用価値)
4.資産除去債務
5.退職給付債務

他にも色々ありますが、このようなものが考えられます。
このような時間価値を使った簡単な計算例を一緒に見ていきましょう。

例えば年間の金利を5パーセントとして、今の100円が1年後にいくらになるのかを考えてみます。

これは複利計算で利息を乗せます。
例えば100円を銀行に預けたとして、銀行で5パーセントの利息が付いたとします。

そうすると1年後は100円×1.05で105円になります。
さらに1年後は105円×1.05で110.25円になります。

これを遡ると、1年前は110.25円÷1.05で105円です。
105円をさらに今の価値に割り引くと105円÷1.05で100円です。

つまり、2年後の110.25円は5パーセントの金利を間に挟むと100円なのです。
つまり、この100円と110.25円の差10.25円は2年間の利息だということです。

1年後の105円と今の100円の差は5円ですが、この5円は金利です。
では、2年後の100円ということを想定して、2年後の100円から金利を除くと今の元本相当はいくらかというと90.70円です。

これが割引現在価値といって、2年後の100円から1.05で割ります。
そうすると95.24です。

ということは、95.24円の1年後は100円です。
95.24円をさらに1.05で割ると今は90.70円です。
90.70円は1年後の95.24円と等しい価値なのです。

では、100円の2年後を一気に今の価値に直すと1.05÷2乗です。
というふうに、2年後なら2乗、3年後なら3乗というふうに、年数をべき乗します。

5年後ならば1.05の5乗で割ればいいのです。
なので、どんどん小さくなります。

金利が膨らむということです。
この割引現在価値を使って、簡単な計算例を見ていきましょう。

毎期末1,331,000円ずつ3年間リース料を支払うとします。
金利は10パーセントとします。

そうすると、1年後は133.1万円です。
2年後は133.1万円で、3年後は133.1万円です。

単純に合計すると399.3万円です。
これがリース資産かというと、そうではありません。

リース資産は331万円で、差額が68.3万円あります。
この68.3万円は3年分の利息です。

では、どうやって除いたかというと、まず1年後の133.1万円は1.1で割ります。
そうすると121万円です。

この場合、差額の12.1万円は1年間の金利です。
では2年後はというと、133.1÷1.1の2乗です。

そうすると110万円です。
3年後は133.1万円÷1.1の3乗です。

そうすると100万円になります。
今の100万円は3年後の133.1万円です。

今の110万円は2年後の133.1万円です。
今の121万円は1年後の133.1万円です。

簡単に言うと、今の100万円というのは1年後の110万、2年後の121万、3年後の133.1万円ということになります。

では121万円と110万円と100万円を足すと331万円ですが、これが元本相当でリース資産です。

(借方)リース資産331万 (貸方)リース債務331万ということになります。
そして差額の68.3万円は将来の金利として計上されます。

こういった形で、リース総額は339.3万円ですが、399.3万円でリース資産を計上するわけではありません。

金利の68.3万円を引いた状態でリース資産を331万円とします。
これは典型例なので、これから日商簿記検定1級を受験される方は参考になさってください。

私はいつもあなたの日商簿記検定1級合格を心から応援しています。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
商品に関するご質問・ご相談はこちら