経済活動と会計記録の関係について
今回は経済活動と会計記録の関係についてお話しします。
経済活動と会計は分けて考えることが多いですが、密接に結びついています。
そうすると経済に関する見方も変わってきますし、時事問題の視点もひとつ手に入ると思います。
もし、自給自足の生活を送っていたら経済活動が狭くなってしまいます。
例えば私がひとりで家を作っていたり靴を作っていたら大変なことになります。
それぞれが自給自足をするとそれぞれが貧しいのです。
自給自足の場合はまだまだ貧しい状態が多いのです。
専門性が低い人間が全部やるので、良いものができず、生活のレベルが低いのです。
そこで、靴は靴メーカーというようにそれぞれ専門化をして、その中で集団で役割分担をして協働します。
アダム・スミスの国富論でも言っていますが、ピンを作る本数がひとりだと数本しかつくれないのに、みんなで協力すると何百何千何万本と作れるということです。
これによって経済活動が一気に増大します。
そうすると、自分で使うには多すぎて余ってしまいます。
余ったものを他人と交換することによって、豊かさが増していきます。
つまり、分業・協働・交換というステップがないと富は増大しません。
まずは得意分野で分業して、分業することによって専門分野に特化することでスキルが上がります。
それによってとても良い製品がつくれます。
分業をすることで生活が豊かになるし、分業をした中で集団で協力しあって役割分担をします。
そうすると、もっとスキルや技術が発達します。
そして、集団でたくさん作ったものを他人と交換して、それぞれがより高いレベルで豊かさを増というのが経済活動の基本です。
そして、交換をすることによって経済活動が複雑化します。
富がどんどん増大して、貧富の差が出てきます。
効率・競争を追求していくことによって富が増大しますが、その一方で弱いものも出てきます。
弱者救済ということで、国家が介入して富の再分配をします。
お金をたくさん持っている人からより多くの税金を取るなどして、弱い人にも分配します。
これを社会福祉や福利厚生と言います。
このように富の増大と富の再分配という2つの側面の政策があります。
国で考えれば政策ですし、会社でも売上を上げるために効率化をします。
そのためには活動を適当にやるのではなくて、会計記録という形で測定をして、測定結果をもとに分析・改善をして効率化を目指します。
もう一方は、会計記録があるからこそ、その記録をもって余った富を誰に分配するかということが数字で分かります。
このように、再分配や効率化のために会計記録が必要なのです。
記録がないと闇雲になってしまいますから、効率化も十分にできません。
決算書で現金がいくらあるかということが分かれば、どこにどれだけ分配をするかが分かります。
記録があることによって、経済の後半部分の富の増大や富の再分配がより高いレベルで実現できます。
会計記録というツールが必要になってくるのです。
ということで、経済活動は富を増大する活動そのもので、それをさらに高いレベルで効率化し、あるいは富の再分配をするために必要な道具が会計記録なのです。
経済活動がなければ会計記録もあり得ないのです。
経済活動をより高いレベルで実現するための大きな触媒が会計記録なのです。
ですから、税理士・会計士や経理担当の仕事というのは、経済活動をより高いレベルで実現するために不可欠な存在だということが言えるのです。
会計記録なくして富の再分配はおぼつきません。
そして、経済活動の振り返り、財務分析を通じてもっと効率良くお客さんを獲得する、コストダウンをする、そして競争力を高める。
経済政策も時々どちらかに重点を置きます。
例えば規制を外して自由競争を促進すれば、当然富の増大があります。
しかし、そうすると強い人がどんどん強くなって格差が激しくなります。
そうなると、政府は自由競争を増長するような政策をいったん置いて、お金を持っている人から頂いたお金を医療や福祉や福利厚生のほうに再分配するという国の政策もあります。
会社の中でも同じことがあります。
例えば成果主義で仕事ができる社員だけを優遇し始めると、たまたま結果が出ない人が不満を持ちますので、社会福祉や福利厚生をするときに決算書のデータが必要になるのです。
経済活動をさらにレベルアップして成長させるための重要な成績表として会計記録が必要なので、経済活動そのものがあったら、そのツールとして会計記録があります。
ビフォー・アフターです。
集団で活動する以上、分業・協働・交換という行為をさらに高めていくために、会計記録は不可欠なのです。
こういう感覚で見ていくと簿記検定などの勉強というのはすごく有意義だということが分かります。
これが分かると、今後会計の勉強にもう少し興味が湧くと思います。
ご参考になれば幸いです。
私はいつもあなたの成功・スキルアップを心から応援しています。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。