工業簿記の第一歩は、勘定連絡の理解から!

今回の「頑張ろう日商簿記2級合格」は勘定連絡の入口について大まかに理解するために、事例を使って説明します。

柴山式総勘定元帳は、十字を書いて、左上がⅠ.資産グループ、右上がⅡ.負債グループ、右の真ん中がⅢ.純資産グループ、右下がⅣ.収益グループ、左下がⅤ.費用グループというふうにそれぞれのグループに属する勘定科目を書いてみます。

大事なことは、原価計算や工業簿記の場合、資産グループと費用グループのやり取りなので、十字を切るときに左側を大きくして右側を小さくします。

負債・純資産・収益という貸方グループを小さく書きます。
これが工業簿記版の柴山式総勘定元帳の特徴です。

商業簿記版は負債も資産も収益も大事なので、ちょうど真ん中あたりで十字を切ります。
しかし、原価計算の場合は資産と費用のやり取りが全体の9割を占めます。

事例を申し上げますが、まずは300万円を支払って材料を買いました。
材料の300万円のうち250万円を仕掛品、つまり工場に投入しました。

仕掛品勘定は工場の中だと思ってください。
未完成なものは工場の中です。

そして製品勘定は製品の倉庫だと思ってください。
仕掛品勘定は倉庫なので、工場で完成したものは500万円で、それが製品倉庫に移されたのです。

勘定は倉庫や工場のビルで考えれば良いと思います。
材料勘定は材料倉庫の受け払い、仕掛品勘定は工場での完成品の受け払い、製品勘定は完成した製品の受け払いです。

工場が中心となって仕掛品勘定をやり取りしています。
製造業で物というのは材料費と労務費と経費に分けられます。

材料費というのは材料という物品の消費額で、労務費は労働サービスの消費額で、経費は材料費と労務費以外の費用です。

製造間接費というものは8割方経費ですが、材料費と労務費も一部入っています。
では見ていきましょう。

まずは材料を300万円で買って、(借方)材料300万 (貸方)現金300万となります。
材料の300のうち250は工場に投入したので、(借方)仕掛品250万 (貸方)材料250万となります。

そして材料の残高は50万となります。
そして、現金勘定の貸方にある200万は賃金として支払った額です。

工場で消費される現場の作業員に支払った賃金です。
仕訳は(借方)賃金200万 (貸方)現金200万となります。

この賃金もゼロにして仕掛品に投入されます。
そのときの仕訳は(借方)仕掛品200万 (貸方)賃金200万となります。

つまり、賃金や製造間接費という費用は最終的にゼロになって、仕掛品(資産)に転嫁されます。

費用が資産に転嫁されるのが製造業の簿記の特徴です。
商業簿記はいったん費用で計上したら全て費用になりますが、工場でいったん消費された費用は仕掛品という製品に全て集約されて売上原価になります。

こういったことを考えただけでも工業簿記は面白いです。
材料費・労務費・経費などは最終的に仕掛品に振り返られて、残高がそれぞれゼロになります。

振り返られた結果、仕掛品は550万になります。
そして550万の投入のうち500万だけ完成しました。

50万は期末仕掛品として未完成の状態で工場に残っています。
完成したものは工場から出荷されて製品倉庫に受け入れられます。

ここで製品勘定へ500万を振り替えます。
仕訳は(借方)製品480万 (貸方)仕掛品480万です。

そしてそのうち480万を出荷しました。
500万円分が完成して480万円分を販売して20が期末の在庫です。

販売した480万円は売上原価という費用で引き取ります。
仕訳は(借方)売上原価480万 (貸方)製品480万です。

売上原価については、例えば1個48万円の製品を10個払い出した場合、10個の原価は480万だけれども、売価は1個80万円です。
ですから、10個×80万で800万です。

こうやって見ると、製品1個が48万円でできて、それに対してついた売価が1個あたり80万円です。

1個あたり32万円の粗利益(売上総利益)という計算になります。
この粗利益を計算するのが原価計算の目的です。
そして、それを帳簿に記録するのが工業簿記です。

この全体像が分かった上で細かい話に入っていくと工業簿記をマスターしやすくなります。
柴山式の簿記学習法は工業簿記を得意にする人が多いです。

簿記2級の工業簿記を満点で合格する人もいらっしゃいます。
これが柴山式の特徴です。

その第一歩は柴山式総勘定元帳を用いた勘定連絡の全体イメージを持つことです。
このイメージを持ってから工業簿記に取り掛かるから理解しやすいのです。

私はいつもあなたの日商簿記検定2級合格を心から応援しています。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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