日商簿記検定1級・商業簿記会計学/第146回の講評

今回の「頑張ろう日商簿記1級合格」は、2017年6月11日に実施された第146回の日商簿記検定1級から商業簿記と会計学の簡単な講評をします。

商業簿記の問題量が少し多くて苦労されたと思いますが、今回は4つの点についてポイントをまとめてみました。

まず1つ目のポイントとして、処理の量が多いということが挙げられます。
いつものことではあるのですが、問題量が多いので慣れていないとどこから手を付けて良いのかが分からないという状況になってしまいます。

そのような場合には過去問の勉強というのが役に立ちます。
過去10回分ぐらいの過去問を1つ1つ丁寧に分析します。

例えば「減価償却」「有価証券」「商品売買」「現金預金の銀行勘定調整表」「社債」「退職給付」など、1つ1つのパーツはそれほど大したことはないので、全体の量に圧倒されることなく、普段の勉強からブロックごとに分けるのです。

場合によっては問題文を「1番」「2番」……というように、番号ごとに赤ペンで線を引いて区切ると大したことなないのです。

全体で見るとすごく見えますが、ゲームのように1つ1つのブロックごとに個別に撃破していけば良いのです。
そのように、ブロックに区切って、取れるところから部分点を積み重ねます。

そして、例えば「ソフトウェア仮勘定」といった用語には惑わされてはいけません。
問題文を「ソフトウェア償却」「減価償却」「退職給付」など1つ1つのパーツに分ければ、怖じ気づく必要はありません。

私は今回の商業簿記の目標点を17点~18点と考えています。
もちろん、人によっては20点を狙えるかもしれませんが、17~18点が現実的に狙える妥当な線かと思います。

少しイージーミスをして15点か16点という場合もあるかもしれませんが、できれば17点か18点を目指してください。

今回は部分点を積み上げることが大切です。
とにかく問題文の量が多く見えるのですが、実際はそこまで多くはないのです。
なぜ多く見えるのかというか、慣れていないからです。

会計の文章をまとめて1ページ2ページ読むという経験がないから、問題文を見たときに驚いてしまうのですが、経験さえしておけば実はそれほど大した量ではないのです。

1個1個をよく見ると、実は半分以上が例題の積み上げなので、そこでしっかりとポイントを押さえて解いていけば良いのです。
ですから、普段から例題レベルの処理を磨いておくことが重要です。

今回の問題はPL作成でしたので、損益項目を重点に問題文を読むことが大切です。
このように考えていただければ良いのかなという気がいたします。

だいたい1個5分ぐらいの処理を早くできるようにします。
商業簿記は60分ぐらいが目標で、会計学は30分ぐらいが目標です。

1テーマ5分程度かけるとすると、12個解くことができます。
おそらく1か所につき1点か2点の配点なので、だいたい20か所ぐらいあります。
1テーマにつき2つぐらいの解答箇所があるとすると、10テーマぐらいになります。

10テーマぐらいで20か所ぐらいの配点ということは、10テーマありますから、60分で10テーマ、あるいは、10分程度問題文を読む時間があるとすれば、50分で10テーマ、要するに1テーマ5分ですので、1テーマ5分ぐらいで解答します。

例題も1つがだいたい5分ぐらいで解答するので、普段から個別の例題を5分以内(簡単な問題であれば2~3分)で終わらせます。
時間制限を設けて普段から勉強をすると違ってきます。

ということで、問題文を1テーマずつに細分化することが総合問題の対応方法で、商業簿記を得意にするためにはこのトレーニングが必要になります。

これから復習をする方は、問題文に「資料1」「資料2」などと線を引いて区切って、その区切った部分だけをやってみてください。
そのようにやってみると案外解けるのです。

それから、今回は損益計算書の作成が中心の問題なので、資産・負債はあまり気にせず、損益に関係するところだけを処理して、それ以外の部分は深入りしないというのも手です。

このような応用力が問われます。
ともあれ、17点~18点を目標に頑張っていただきたいと思います。

今朝のお話で「16点ぐらい」と申し上げましたが、本当はもう少し欲を言って17点以上を取れればベストです。

だめなときは16点でもしようがないですし、他の問題で挽回すれば良いのですが、商業簿記であまり大きくロスしたくなければ17点以上取るのがベストでしょう。

続いて会計学ですが、こちらも17~18点が目標です。
商業簿記と会計学を合わせて35点を取れれば楽になります。

今回の原価計算の問題は人によっては未知数なところがあるので、商業簿記と会計学で35点、最低でも34点は目指していただきたいと思います。

32点でも良いのですが、不合格になるリスクを減らすという意味では商業簿記と会計学のどちらも17点~18点を取って、2つ合わせて35点ぐらいは取りたいところです。

今回の会計学は第1問を落としてしまうときつくなります。
おそらく1個2点の配点で、5か所で10点になります。

しかも、模範解答を見ると、1番目は修正再表示に関する問題ですが、その他は総合償却やキャッシュフローの直接法など、割とテキストに載っているようなキーワードが多かったです。

柴山式のテキストには修正再表示も載っているので、丁寧に勉強していれば10点取れます。
ですので、第1問は10点満点で最低8点(5問中4問)、できれば10点を取りたいです。
第2問は通貨オプションという特殊論点に近い問題でした。

本源的価値や時間的価値といった話をしている部分なので、ここはできなくても良いのですが、設問1の「770千円」という通貨オプションの期末の金額はシンプルに解けるので、ここはできれば正解していただきたいです。

契約締結時と期末の時価の差額と外貨を掛けて解答を出します。
デリバティブは正味の債権債務で、差額を出しますが、それが770千円で、これは電卓ですぐに出せますので、設問1は正解していただきたいです。

この設問1を取るのがセンスで、全て飛ばすケースもありますが、今回は設問1は解いてください。

この1点が後々の合否に影響する可能性がありますし、もしかしたら2点の配点がくる可能性も否定はできません。

第3問は事業分離の問題で、テキストの勉強と過去問などの類似問題をしっかりやっておけばできる問題なので、①の「S社株式 13,000」と②の「S社の資本金 12,200」は正解していただきたいです。

②については、「増加する資本の40パーセントを資本金にする」という問題文でしたので、元々あったS社の資本金7,000に増加する資本13,000の40パーセント5,200を加えて、7,000+5,200=12,200となります。

この①②の問題はそれぞれ2点の配点が来るのではないかと思うので、4点になります。
③は連結B/Sの問題で、この中での配点は7点となるでしょうから、この中で3点は取りたいです。

のれんや資本剰余金のあたりはおそらくできないと思うので、その他の項目で足せるものは足して、どんどん数字を出して、7つのうち3つは取ります。

資本金は取れると思うので、あと2つを取ります。
できれば第1問で8点、第2問で1点、第3問で7点は取って合計16点になりますが、ここでできれば第1問が全て正解していればプラス2点で18点にいきます。

あるいは、通貨オプションの設問1で万が一2点の配点が来るならばラッキーだと思います。

通貨オプションの設問1は基礎知識で解ける問題なので、「本源的価値」「時間的価値」という言葉は気にせずに、今までやった知識で解けるところを解くというようにしていけば、結構部分点を拾うことができて、18点ぐらい取れる可能性があります。

ぜひ、こういったところを参考にしながら商業簿記と会計学をしっかりと見直してみてください。

通貨オプションは特殊でしたが、事業分離は割と良い問題ですし、第1問の空欄補充の問題も良い問題でした。

商業簿記も全体的に見ると量が多くて大変ですが、それなりに練られた良問だと思いますので、総合問題の練習としても使えると思います。

商業簿記の処理の量が多くても個別に細分化してできるところからやっていくということを意識して見直してみてください。

商業簿記と会計学を合わせて35点を取るのがベストですが、32点~35点というのが1つの目安だと思います。

頑張ってください。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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