第146回日商簿記1級の全体的な印象について

昨日、2017年6月11日に日商簿記検定1級が実施されました。
問題文を見た全体的な私の印象と、解答速報を作成するプロセスに関わった過程で気づいた点、あるいは今後合格をするための対処法などについて、個人的な感想をお話したいと思います。

商業簿記・会計学と工業簿記・原価計算についてのもう少し詳しいお話は、今夜アップする予定です。

まずは受験された方、本当にお疲れさまでした。
受験された方の中には会計学第2問で出題された通貨オプションで戸惑った方もいらっしゃると思います。

「本源的価値」や「時間的価値」というような、大学などの専門課程でやるようなお話で、少し可哀想かなと思いましたが、これに惑わされずにできる部分をいかに解いていくかが大事です。

同じく会計学の第3問は事業分離の問題が出ました。
事業分離については、10年前であれば特殊論点とされていて、会計士の短答や論文試験で出題されてもおかしくないような内容でした。

もはやこれは特殊論点ではなくなっていますから、会計というのは進歩していると感じます。
10~15年前に日商簿記検定1級を受験された方からすると隔世の感があります。

伝統的な割賦販売、積送品、未着品、勘定連絡、勘定の推定といったベタな問題は少なくなってきていて、リースや資産除去債務など、新しい新会計基準の内容が出ています。

時代とともに会計も傾向が変わってきていますが、それに合わせて勉強していけば良いのです。

とはいえ、テキストの例題をベースとして、問題文の言い回しが変わったとしても応用できるようにしていくというのが基本です。

難しいことをやらずに、まずは基本をしっかりと固めてください。
連結にしても、デリバティブにしても、基本をしっかりと押さえた上で本試験の捻った出題形式や用語の使い方にも対応できるようにします。

基本が大事だということは変わりません。
今回の問題を一通り見てみますと、商業簿記は相変わらず処理の量が多いので、スピーディーに解いていくことが大切です。

やはり、例題レベルの個別問題をしっかりとできるようになることが大事です。
それから、「ソフトウェア仮勘定」といったような言葉を最近の試験問題では多く見かけます。

このような聞き慣れない言葉を目にして動揺される方もいらっしゃるかもしれませんが、焦らないでください。

例えばソフトウェアの償却、減価償却や退職給付など、それぞれテキストの例題をしっかりとこなしていれば得点できる個別の問題も多かったです。

今回は損益計算書に関する問題でしたので、私の感覚としては、費用・収益に意識を集中して、資産・負債はあまり気にしないというメリハリも大事だと思いました。

今回の会計学は17点が目標だと思っています。
会計学については、第1問の理論は修正再表示や総合償却など、テキストでも出てくる言葉が多いので、テキストで勉強したことを活かせる内容でした。

今回の理論問題ではテキストに載っている用語が結構出てきましたので、5問の理論問題のうち、欲を言えば5つすべてを正解したいです。
ここはおそらく1個2点の配点だと思うので、10点を目標にしたいです。

キャッシュフローで直接法の表示や、償却原価法など、割と得点しやすい問題が多かったので、4個(8点)は取ってほしいです。
ここで3個しか取れなかった場合はきついかもしれません。

そして、第2問の目標は1点だと思っています。
設問1の「770千円」が正解できればOKです。

第3問については、おそらく配点は11点だと思われますので、第1問が10点、第2問が1点、第3問が7点を目標にします。

第3問は設問1と設問2はそれぞれ2点で4点かなと思っています。
そして、設問3は11点中7点ぐらいですが、7点のうち頑張って3ぐらい取って、第3問は7点目標ぐらいかなと思います。

会計学は17点が目標なので、商業簿記が17点で会計学が17点となると合わせて34点になります。

それぞれの科目でもう1点ずつ失ったとしても、32点になります。
32点~35点ぐらいが商業簿記・会計学の目標かなというイメージです。

工業簿記・原価計算についてですが、工業簿記は補助部門の配賦という問題でした。
最初に丁寧に問題文を読み込んで配賦額を決めます。

これは伝統的な問題ですが、少し捻りがあるので気をつけて解いてください。
目標は17・8点です。

原価計算では「チョコ停ロス時間」という意外な言葉が出てきますが、これは戦略原価計算なのです。

ABC(活動基準原価計算)はある程度できるかもしれませんが、後半部分は問題文をよく見てください。

以前出題された問題と比べて著しく難しいかというと、そこまででもないので、丁寧に拾っていきます。

第2問は落としてもしようがないので、第3問については、「チョコ停ロス」など、戦略的原価計算のところで出る用語ではありますが、問題文に出ている用語を置き換えれば普通の標準原価計算とそれほど変わらないことを言っています。

そこがしっかり分かればある程度点数は取れるので、原価計算については取れる人は20点取れるかもしれません。

実際に柴山会計のスタッフが受験して、「チョコ停ロス」などの知らない言葉が出てきて最初は焦ったらしいですが、国語力を発揮してよく問題文を読んで趣旨に沿って計算したら、自己採点で満点近く取れました。

ですから、上手くはまれば20点取れるかもしれません。
もし原価計算で20点取れたらかなり有望です。

例えば原価計算で20点、工業簿記で18点を取れば合計38点でかなり楽になります。
さらに商業簿記・会計学で32点を取って70点以上で合格というのがあり得るパターンです。

ですから、目標としては商業簿記・会計学で32~35点、工業簿記・原価計算で37~40点ぐらいです。

今回は工業簿記・原価計算で得点を稼ぐというよりは、商業簿記・会計学で少しずつ32・3点ぐらいまで積み上げたうえで、工業簿記・原価計算で37・8点を取って7割以上得点するというのが現実的だと思っています。

見慣れない言葉が出て驚いてしまうのは仕方ない部分もありますが、メンタルも鍛えましょう。

今回の問題はやや難しいので、合格率は10パーセントを少し下回るぐらいかと思います。
この問題で合格率13~15パーセントぐらいになることはないと思っています。

私の予想は10パーセントを少し下回って、8パーセントか9パーセントぐらいだと思っています。

このあたりは配点の状況によっても違ってきますので、様子をみてみましょう。
やや難しいとはいえ、絶望的ではないので、頑張って積み上げれば希望はあります。

基礎力をつけることが大切です。
突破口は今回もあることはありますので、諦めずに勉強をしていきましょう。

簿記1級というのは専門的な資格ですから大変な問題にチャレンジしていますけれど、必ず合格の可能性はあります。

合格を信じて頑張りましょう。
今回は第146回1級の全体的な印象と感想をお話しました。
頑張って簿記1級の学習を続けてください。

私はいつもあなたの日商簿記検定1級の学習・合格を心から応援しています。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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