森永の配当性向が30%
5月13日に、森永が平成28年3月期の決算短信を発表しました。
前年は年間6円の配当としており、毎期安定的に配当を行うこととしていました。
今決算では、配当額を7円に増額しています。
※森永のH28年3月期・決算短信
→ http://www.morinaga.co.jp/company/ir/ir_inc/pdf/h28-0513_01.pdf
同社の配当性向は、次のとおりです。
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H27/3月期・・・ 41.0% (1株あたり純利益14.62円。配当額6円)
H28/3月期・・・ 22.5% (1株あたり純利益31.09円。配当額7円)
H29/3月期・・・ 22.2% (1株あたり純利益31.51円。配当額7円)
(予想)
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配当性向とは、配当額と当期純利益の比率です。
計算式は「配当額÷当期純利益」です。
1株あたりの配当額と1株あたりの当期純利益で計算しても、結果は同じになりますね。
森永の3年分の配当性向(H29/3月期は予想)を見るとわかるとおり、配当額が安定している(6円~7円)と、純利益が変動した時に、配当性向が大きく変わります。
H27/3月期は41.0%と、純利益の4割強も配当されることになっています。
このように、その期の業績に関係なく、配当額を一定にするやり方を安定配当と呼びます。
新聞記事では、今後、森永が安定配当ではなく、将来的に業績連動型の配当にする意向がある、と報じられているのですね。
たとえば、報道にあるように、配当性向30%をめやすとするならば、H29/3月期の利益予想に基づく配当額は
31.51円×0.3=9.453円になります。
このように、配当性向を一定化するやり方の場合、儲けがたくさん出れば配当を増やし、儲けがあまり出ないときは配当を減らすことになります。
配当額を一定とするか、配当性向を一定とするかによって、株主が手にする利益還元額が変わってくるので、関心の高い話なのですね。
なお、従来、日本的な経営では、配当を預金の利息みたいに、毎期一定額ずつもらう安定配当を株主が望む傾向にあったように思います。
しかし、今回の森永のように、業績に連動して、配当性向の目標を明示するケースが出るのは、わりと外国人投資家の要望が強い時ではないかと想像します。
成果配分に対するシビアな見方を持っている、ともいえますね。
安定配当と業績連動型は、両者それぞれにメリットとデメリットがあるため、企業の価値観、株主との関係をいかに構築するか、などの方針によって変わってくるのではないでしょうか。
以上、森永の事例で配当のあり方について考えてみました。
(日経16*5*21*15)