建物の固定資産税評価、算定過程の短縮へ
東京都が、建物の固定資産税の評価方法を見直すため、総務省と調整に入るそうです。
事業主が税負担を迅速に把握できるようにする狙いとのこと。
ここでワンポイント基礎知識です。
固定資産税とは、個人や企業等が所有する建物・土地などの固定資産に対して課税される税金です。
設備や装置等の減価償却対象となる資産にもかかります。
課税する主体は市町村です(東京23区は都)。
国が課税する国税に対し、都道府県や市町村が課税する税金を地方税と呼びます。
毎年1月1日時点における土地・建物の評価額に対して一定税率が課されます。
標準税率は1.4%です。
税収は、2015年度の計画値が8.6兆円です。
市町村の税収の4割強を占めるのだとか。
評価額は、自治体の職員が、建築資材の種類や数量などを調べて算出します。
イメージとしては、再度おなじ建物を建築するためにかかる資材などの価格を積み上げる計算方法です。
「再建築価格方式」と呼ばれます。
結構複雑な計算なのですね。
結果として算出される評価額は、一般に、じっさいにかかる建築工事費総額の60%程度以上であることが多い、ともいわれています。
固定資産税の納期について、たとえば東京都23区の場合、平成28年度なら6月1日に、納税通知書が発送されます。
平成28年度の納期限は、6月30日、9月30日、12月27日および翌2月28日の4回やってきます。
では、固定資産税の経理処理ですが、いっぱんには、納税通知書が届いた日に、次のように未払金として仕訳することになります。
経費名称は「租税公課」です。
(借方)租税公課 ××× /(貸方)未払金 ×××
そして、分割納付をする場合において、支払日に支払った額だけ未払金勘定を借方に書いて取り崩す(減額する)ことになります。
(借方)未払金 ××× /(貸方)現金預金 ×××
以上が経理処理の話です。
なお、新聞記事がテーマとしている「算定過程の迅速化」というのは、従来の再建築価格の積み上げによる算定から、建物の取得額に基づいて課税評価額を算定する「取得価格方式」を軸に検討する、という趣旨です。
このほかに、建物を賃貸した時に、受け取るであろう賃料収入の見込額を算定し、その収益に対してあるべき収益率などをもちいて逆算するなどの方法、すなわち「収益還元法」も検討されるそうです。
(例)
将来の年間の賃料が120万円と見込まれる建物について、年間の収益率を5%と想定した場合の収益還元価格は、単純に計算すると、
120万円÷5%(0.05)=2400万円 となる。
算定方法を従来の再建築価格方式から、取得価格方式などに変えることによって、建物の完成から課税評価額の確定まで、最長2年くらいかかったものが、数ヶ月程度に短縮できる見通しなのだそうです。
計算の迅速化をはかるための、固定資産税の算定についての租税制度変更案に関するお話でした。