中国の海運、9社中5社増益も補助金が演出?
3月31日までに発表した中国遠洋(コスコ)を含む上海海運の2015年12月決算における業績につき、9社中5社で最終増益となっていたそうです。
これが売上の増加やコスト削減効果によるものならば望ましいのですが、必ずしも実態はそうではないようです。
中国政府は、余剰な輸送能力の解消を名目として、各社に廃船奨励金を支給しているそうです。
地方政府も資金面で支えている側面があるとのことです。
金額もけっこう大きい規模ですね。
たとえば、中国遠洋(コスコ)は2015年12月期で約42億元(約720億円)です。
同社の最終損益は3億元弱の黒字だったそうですが、このような補助金がなければ、多額の赤字に苦しんでいたと容易に想像できますね。
なお、補助金を受け取った場合、日本会計基準では、次のように仕訳します。
(借方)現金預金 ××× /(貸方)受贈益 ×××
貸方の受贈益は、損益計算書の「特別利益」という区分で表示されます。
(参考)損益計算書の表示
1.売上高 10,000
2.売上原価 6,000
売上総利益 4,000
3.販売費及び一般管理費 3,000
営業利益 1,000
4.営業外収益 150
5.営業外費用 200
経常利益 950
6.特別利益 100←受贈益!
7.特別損失 250
税引前当期純利益 800
8.法人税等 300
当期純利益 500
このように、日本の開示ルールでは、経常利益までの数字には、影響はないですが、税引前当期純利益以下の数字が増えます。
補助金の受け入れにより、経常利益より下の区分に表示され、当期純利益が増加することがイメージできればよいでしょう。
(日経16*4*5*9)