日本電産、実質無借金に

日本電産が2015年12月末で実質資金残高100億円程度となり、実質無借金の状態になったようだ、と報じられました。

これにつきまして、本日、日本電産から、第3四半期決算発表があり、実質現金が111億7100万円であることがわかりました。

(2015年度第3四半期決算短信)
http://az369030.vo.msecnd.net/pdffile/corporate/160121-02.pdf

では、じっさいに2015年12月31日現在の連結バランスシートをもとに、実質現金の額を計算してみましょう。

流動資産の現金預金324,931百万円

短期借入金△121,937百万円
1年以内返済予定長期債務△52,495百万円
長期債務△139,328百万円

差引  11,171百万円

以上より、たしかに実質現金が111億7100億円であることが、連結バランスシートより計算されました。

前期末(2015年3月31日)の実質現金が、マイナス125億9600万円だったので、9カ月で、現金預金が有利子負債よりが237億6700万円も大きくなったことを意味します。

なお、発表前後の株価の動きを見てみると…

2016年1月21日 7,776
2016年1月20日 7,862
2016年1月19日 8,002
2016年1月18日 7,683
2016年1月15日 7,668
2016年1月14日 7,802
2016年1月13日 8,080
2016年1月12日 7,755

あまり株価に変化はないようです。

実質無借金に加え、業績予想アップの明るい話題があれば株価も違ってきたのでしょうが、実質無借金というニュースだけでは、投資家の同意を得られにくいのでしょう。

収益性に関する情報が加わると、株価にも大きな影響が生じます。

企業の稼ぐ力に対する世間の目は厳しいです。

ちなみに、有利子負債とは、借入金や社債など、利払いを伴う借金などの返済額です。

この有利子負債から現金預金と短期売買目的の有価証券などを差し引いた残りは、実質借金などといわれることがあります。

有利子負債より現金預金が大きいと実質現金ですね。

今回の報道では、日本電産が有利子負債より現金預金を多く保有することになったため、資金余力が非常に大きいことを印象付けられます。

今後、M&A戦略なども踏まえ、日本電産が潤沢な資金を何処に振り分けるかについても、厳しい目をもって見ていきたいですね。

(日経16*1*20*15)

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