ニフコ、リキャップCBで201億円の資金調達

自動車用ファスナー(留め具)のニフコが、13日に転換社債型の新株予約権付社債を発行し、201億円を調達すると発表しました。

※ニフコIR情報
→ http://www.nifco.co.jp/ir/

※新株予約権付社債の発行に関するお知らせ
→ http://www.nifco.co.jp/spdf/190.pdf

具体的には、平成32年4月30日を償還期日とする、期間5年、金利ゼロ%(ゼロクーポン債)で、発行価額は額面100,000,000円あたり100,500,000円で計20,100,000,000円(201億円)の調達を予定しています。

細かい条件がいろいろついていますが、今回の資金調達は、大まかに言うと次のような特徴を持っています。

1.額面より高い発行価額(打歩発行(うちぶはっこう))
2.利払いがない
3.転換社債型である(社債の払込代金を新株の払込に充当)
4.自己株式を同時に買取り、自己資本を圧縮してROEを高める

ニフコの株価は、ここ2年とても好調です。

2013年はじめまで2,000円前後で推移していましたが、2014年に3,000円台に突入し、今では4,000円を超えています。

1,000円位の値上がりを2年続けているので上昇幅は2,000円、下の株価が2,000円だから2倍株ですね。

好調な株価のトレンドを背景にしているため、上のような強気の発行条件での資金調達が可能になった、といえるのでしょう。

社債とは、債権を発行して投資家から資金を集める方法の負債です。

そのときの状況によって、額面より低い割引発行をしたり、額面より高い打歩発行をしたりします。

約定利率による定期的な利払いをすることもありますし、満期が来れば償還します。

借入金と並んで、有利子負債を構成します。

また、社債の発行時に新株予約権というオプションをつける場合があり、これを新株予約権といいます。

新株予約権とは、一定期間内に、一定の行使価格(転換価格)で、その会社の株式を取得することができる権利です。

行使価格より株価が上がった時に新株予約権を行使すれば、投資家は差益の分だけ儲かります。

また、新株予約権を行使した時に、株式の代金を払い込む代わりに、すでに払いこんである社債の購入代金を株式の払込に充当するやり方を、特に「転換社債型」といいます。

従来よりCB(Convertible Bond)とも呼ばれています。

新株予約権を発行した場合、一般的には次のように負債の部と純資産の部に分けてそれぞれ表示します。

********B/S(貸借対照表)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
********|(負債の部)
********|社債×××
********|***:
********|(純資産の部)
********|***:
********|新株予約権×××

そして、新株予約権が行使され、社債の払込額を株式の払込に充当した場合(転換した場合)のB/Sは次のように変化します。

********B/S(貸借対照表)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
********|(負債の部)
********|***:
********|(純資産の部)
********|資本金×××
********|***:
********|

このように、資本金が(場合によっては資本準備金も)増加し、社債と新株予約権は、権利行使された分だけ消滅します。

会社にとっては、将来の返済義務を有する社債から、返済義務のない資本金などに変わるわけですから、資金繰りが楽になります。

投資家としても、行使価格より高い株価の株を取得できれば、うまみがありますね。

なお、負債であった社債が資本金などに変わるわけですから、会社の純資産が増えます。

そうなると、さいきん株式市場で重視されているROE(自己資本利益率)が下がってしまうという副作用がありますね。

ROE=当期純利益÷平均自己資本

そこで、自己株式の取得と組み合わせて、ROEの低下を防ぐわけです。

自己株式を取得すると、純資産の部を減少させます。

********B/S(貸借対照表)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
********|(負債の部)
********|***:
********|(純資産の部)
********|資本金×××
********|***:
********|自己株式△×××

このような仕組みで、201億円の資金調達と同時に、自己株取得による財務分析比率の維持を図るわけです。

今回のニフコが行う資金調達方法は、リキャップCBとも呼ばれています。

上場企業ともなると、いろいろな資金の集め方がありますね。

(日経15*4*14*15)

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