東芝、資金効率化の仕組みでCCCを短縮(日経14*12*18*17)
日経朝刊12月18日(木)の17面では、東芝が世界で資金効率化を図るといった記事がでていました。
どういうことかというと、世界4カ所の地域総括会社にCFO(最高財務責任者)をおいて、地域ごとの資金フローを管理するのだそうです。
2017年3月には現金収支(フリー・キャッシュ・フロー)を1200億円の黒字にする目標を掲げているとのこと。
おおがかりな資金の効率化戦略とお見受けしましたが、そこで使う指標にキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)がとりあげられました。
これは、かんたんにいうと、売掛金の回収期間と在庫の販売までの期間と仕入れ代金の支払までの猶予期間を足し合わせて、「商品を仕入れてから売上代金の回収までの日数」を求める財務指標です。
簡単な計算例を示してみましょう。
A社の年間売上高は1460億円でした。
一日あたりの売上高は1460÷365=4億円です。
同じ年におけるA社の年間売上原価は1095億円でした。
一日あたりの売上原価は1095÷365=3億円です。
ここで、売上代金の未回収額(売掛金)が120億円あるとすると、売掛金は一日あたりの売上高4億円の30日分になります。
つまり、売掛金を全部回収するには30日かかるということですね。
いっぽう、現時点の商品在庫(棚卸資産)は60億円です。
一日あたりの売上原価が3億円ですから、在庫をすべて売りつくすまでに20日かかる計算です。
以上より、商品を仕入れてから販売し、さらに代金を回収し終わるまでに、おおむね20+30=50日かかることがわかりました。
けっこう資金繰りの負担が大きそうです。
しかしそのいっぽうで、仕入れた商品の代金の支払いはしばらく待ってもらえます。
それがどれくらいの日数かというと、現時点での商品の未払代金(買掛金)が105億円だとすると、105÷3=35日の猶予期間があります。
以上より、商品の仕入れから代金回収まで50日かかるいっぽう、仕入れ代金を35日待ってもらえるので、差引で15日だけ、売上代金の回収まで運転資金が不足の期間があることがわかります。
これを、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)というのですね。
※A社のCCC=売掛金30日+商品20日ー買掛金35日=15日!
このCCC15日をたとえば10日に短縮できれば、仕入原価のベースで見ても3億円×5日=15億円は資金繰りが楽になることがわかります。
資金管理上は、とても役に立つ分析指標ですね。
東芝では、このCCCを2015年3月には46日として、前期よりも3日短縮できる見込みだそうです。
これにより、資金がより多くなることが期待されているのですね。
今回は、資金の回転期間を示す経営指標としてのキャッシュ・コンバージョン・サイクルに関する話題を取り上げてみました。