練習問題(仕訳、転記、試算表)【知識ゼロからの会計学入門011】
知識ゼロからの会計学入門、第11回です。
今回は練習問題ということで、これまでに学んだ「仕訳」「転記」「試算表の作成」という3つの企業の会計実務の基本的な作業について実践練習をしましょう。
さっそく問題文を見ていきます。
問題 次の取引をもとに、問1~問3にこたえなさい。
取引① 現金200,000を銀行から借り入れた。
取引② 現金300,000を元入れ(出資)した。
取引③ 広告費180,000を現金で支払った。
取引④ サービスを提供し、お客様から現金240,000円を受け取った。
問1 仕訳を行いなさい。
問2 柴山式総勘定元帳に転記しなさい。
問3 合計残高試算表を作成しなさい。
問1から問3はそれぞれ5分で解答して、全部で15分で完璧にできれば、複式簿記の原理があなたの頭の中にしっかり入っているということになります。
この動画をいったん止めて、ノートなどを用意して、仕訳と総勘定元帳と合計残高試算表を書いてみてください。
それでは問1の仕訳を見ていきます。
①は(借方)現金200,000 (貸方)借入金200,000となります。
②は(借方)現金300,000 (貸方)資本金300,000となります。
③ですが、費用の発生は借方に記入しますので、(借方)広告費180,000 (現金)180,000となります。
④ですが、サービスの提供というのは商品を引き渡すのと同じことなので、売上になります。
売上を原因としてお客様から現金を受け取ったので、(借方)現金240,000 (貸方)売上240,000となります。
次に問2です。
以前説明したとおり、柴山総勘定元帳は真ん中で十字を書いて、さらに右上のエリアの真ん中に横線を引きます。
そして、左上が資産エリア、右上が負債エリア、右真ん中が純資産エリア、右下が収益エリア、左下が費用エリアという5つのエリアに分けます。
まずは現金を中心に見ていきます
現金勘定の借方は①200,000、②300,000、④240,000です。
貸方は③180,000です。
それと対応するように、借入金勘定は貸方に①200,000、資本金勘定は貸方に②300,000、売上勘定は貸方に④240,000、広告費勘定は借方に③180,000となります。
つまり、「借入金(負債エリア)」「資本金(純資産エリア)」「売上(収益エリア)」のような、右側にあるものは、右に数字が出るとプラスだとイメージしてください。
これが5分で書ければ良いです。
それでは、現金を中心にして問3の試算表をみていきます。
現金勘定の借方合計は740,000で、貸方合計は180,000です。
それぞれの合計の差し引きで借方560,000となります。
借方合計と貸方合計の差し引きで多いほうの隣に差額を書きますので、借方残高へ560,000を書きます。
借入金は貸方200,000しかありませんので、借方は0と考えてください。
したがって貸方のほうが大きいので、貸方残高に200,000を書きます。
同じように資本金、売上も貸方残高に、広告費は借方残高へ金額を書きます。
そして、「貸借平均の原理」によって、必ず左右の数字は一致します。
もし左右の数字が一致していなかった場合は、何かが間違えているということがわかるので「自動検証機能」と呼ばれることも前回学習しました。
借方合計と貸方合計はそれぞれ920,000になり、借方残高と貸方残高はそれぞれ740,000で一致します。
試算表の集計も5分を目標にがんばってみてください。
ここまで勉強してきた「仕訳」「転記」「試算表の作成」というのは、会計実務の中核になるものなので、この練習問題を2回3回と繰り返し行ってみてください。
これをやるだけでも簿記の入門的な知識がマスターできます。
1つの取引を借方と貸方に分けて記録する方法を「複式簿記」といいます。
あなたもこれで複式簿記をマスターしたことになります。
自信を持ってこれからの会計学習に取り組んでください。
次回は「取引の8要素」というテーマでお話をしたいと思います。
簿記検定の講義ではあまりやらない内容ですが、こういったところも知っておきたいと考えたので、ご紹介します。
従来の簿記検定3級はあまり理論はやっていませんでしたが、将来的にはどうなるか分かりません。
取引の8要素も会計学として知っておいて損はないので、仕訳をもう少し掘り下げて考えていきたいと思います。
それでは今回の講義はここで終了します。
お疲れさまでした。