財務諸表の作成と会計帳簿②【知識ゼロからの会計学入門007】

知識ゼロからの会計学入門、第7回「財務諸表と会計帳簿②」です。
今回も楽しく、会計の入門知識を学んでいきましょう。
お相手は公認会計士・税理士の柴山政行です、よろしくお願いします。

前回に引き続き、仕訳という記帳手続きについてのお話ですが、その前に財務会計の全体像についての復習です。

入金・出金、売上、仕入、設備の購入、株の売買などの会計上の取引を把握して、仕訳帳と総勘定元帳に日々記入をします。

それらを年に1回などの一定の期間ごとに貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュ・フロー計算書などに表示して、外部の利害関係者(ステークホルダー)に報告しますが、そのときの重要な書類が財務諸表です。

財務諸表を作るときの根拠になるような帳簿が仕訳帳や総勘定元帳です。
では、仕訳帳の取引についてもう一歩深掘りしてみましょう。
今回は「収益(儲け)」と「費用」に関する取引を仕訳してみます。

「取引④ 商品を現金240万円で仕入れた」これは現金240万円を支払って商品を仕入れたということです。
お金を払っているので費用になります。

そして「取引⑤ 商品を現金400万円で売り上げた」…要するに240万円の商品をお客様に引き渡して400万円を現金で受け取ったということです。

240万円の商品を買ってきて400万円で売ったということは、差し引き160万の儲けがあったということは頭の片隅に入れておいてください。

商売というのは、商品を安く仕入れて高く売ることで、これによって利益が手に入ります。
売上の代金から仕入の代金を引いたものが利益になりますが、もう少し厳密に言うと「粗利益」です。

専門用語では「売上総利益」と言いますが、ビジネス用語では「粗利益」や「粗利」と言います。

現金を払って仕入をしているので、費用が発生しています。
仕入原価という費用が240万発生していますが、これによって現金が減っています。

前回の復習ですが、現金が増えた場合は仕訳は左側(借方)に「現金」と書き、減った場合は右側(貸方)に書きます。

今回は現金が240万減っていますので、貸方に書きます。
仕訳は (借方)仕入240 (貸方)現金240 となります。

現金が減ったので、現金勘定は貸方に書き、その反対側に現金が減った原因を書きます。
今回は仕入をしたことによって現金が減ったので、「仕入」と書きます。
このイメージをなんとなく持っていただければ大丈夫です。

では⑤の仕訳ですが、(借方)現金400 (貸方)売上400 となります。
現金400万円が増えた理由は売上だということです。

現金が増えたので左側に「現金」を書き、その反対側にその理由を書きます。
以上を踏まえて、いままでの取引の全体像を見ていきたいと思います。

前回の復習になりますが「仕訳は『データの入力作業』である」ということを思い出してください。

前回は①から③までの取引を仕訳しましたが、その時点で現金は275万円増えています。
今回は④と⑤の取引について勉強してみます。

④(借方)仕入2,400,000 (貸方)現金2,400,000
⑤(借方)現金4,000,000 (貸方)売上4,000,000

④では現金240万が減って、一方で仕入240万という費用が発生します。
⑤では売上によって現金が400万増えました。

この時点で現金ですが、①から③の取引の合計275万円なので、そこから④で240万減って、⑤で400万増えたので、残高は435万になります。

あとで電卓やそろばんで数字を出してみてください。
①から③は借入や出資に関する話なので、儲けには関係ありません。

儲けに関係するのは仕入と売上だけなので、売上の400万と仕入の費用240万を引いて、160万が今回の利益となるわけです。
だんだん難しくなってきましたが、分からないところは気にしなくても結構です。

仕訳というのは、現金が増えたら左、減ったら右に書くというふうに考えていただくだけでも結構です。
以上が仕訳に関するお話です。

次回は第8回「財務諸表と会計帳簿③」ということで、「転記」についてお話をします。
ここまで細かい話が色々出てきましたが、ともかく「現金」を基本に考えてください。

仕訳というのは横一列に書いて、現金が増えたら左、減ったら右に書いて、相手側には現金が増えたり減ったりした理由を書きましょうということです。

そして、その理由として今回勉強したのは、仕入は費用であるということと、売上は儲けだから、売上から仕入を引くと利益が出るということが分かれば結構です。

先は長いので慌てなくても大丈夫です。
のんびりやっていきましょう。

以上で今回のお話を終わりにしたいと思います。
お疲れさまでした。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
商品に関するご質問・ご相談はこちら