財務諸表の作成と会計帳簿①【知識ゼロからの会計学入門006】
知識ゼロからの会計学入門、第6回「財務諸表と会計帳簿①」今回もみなさんと一緒に楽しく会計の入門知識を勉強するご案内をしたいと思います。
今回は複式簿記の原理を初心者向けにお話します。
既に簿記を学んでいてある程度の知識がある方にとっては復習という位置づけになります。
財務会計の全体像についての復習です。
入金・出金、売上、仕入、設備の購入、株の売買などの会計上の取引を把握して、仕訳帳と総勘定元帳に日々記入をして、それらを年に1回などの一定の期間ごとに貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュ・フロー計算書などに表示して、外部の利害関係者(ステークホルダー)に報告します。
そして今回は「仕訳帳」についてのお話です。
仕訳帳は色々な取引を第1段階で記録するものです。
これは入力データです。
では、仕訳帳のルールについて、簡単な取引を2つ紹介して見ていきましょう。
資金の借入と出資に関する仕訳で、いずれも現金が増える場面です。
「取引① 100万円を現金で借りた」これは銀行からお金を借り入れて100万円という現金が増えました。
その原因は銀行からの借入契約です。
借入額が100万円増えましたが、将来の返済義務を「負債」と言います。
負債が100万円増えた一方で、現金が100万円増加したと考えます。
「取引② 200万円の出資を受けた」現金で出資を受けたと考えると、現金が200万円増えて、その原因は出資です。
この場合の出資は、会計の専門用語で「資本金」と言います。
資本金という名目で200万円が増えたと考えましょう。
これらをどのように仕訳帳に書くかについてですが、まずは「仕訳」という言葉について説明します。
仕訳というのは取引が発生した順に書いていきますが、2つの要素に分けて、左側の借方と右側の貸方に横一列に並べ書く方法です。
発生順に書くので、日記みたいなものです。
したがって、パソコンの会計ソフトなどでは「仕訳日記帳」と呼ばれることもあります。
例えば①の取引を仕訳すると (借方)現金100 (貸方)借入金100 となります。
100万円の現金が入ったということを左側に表現します。
現金の増加は左側に書きます。
右側は借入金の金額が書かれていますが、これは借金の増加だと思ってください。
これは将来の返済義務で、その一方で現金が増えました。
借方に現金が書かれている場合は現金が増加して、貸方の借入金は借入の増加という意味だとイメージしていただければ結構です。
大事なのは、現金が増えて、空いている側にその原因を書いたということです。
それでは②ですが、(借方)現金200 (貸方)資本金200 という仕訳になります。
現金が左側に書いているので、現金の増加を表しています。
そして、現金が増えた原因は右側に書いてあります。
この場合は、資本金という名目で増えた、つまり、出資を受け入れたということです。
このように横一列で書くのが仕訳の記録方法です。
では、もう1つ取引を見ていきましょう。
今度は現金が減るケースです。
左側に現金が来たら増えるということは、右側に現金を書けば減少を表すことができます。
仕訳というのは、左にあるか右にあるかで増えたか減ったかを表現する書き方なのです。
今回は借入の返済に関する仕訳です。
「取引③ 銀行からの借入のうち、25万円分を現金の支払により返済した」
この仕訳は (借方)借入金25 (貸方)現金25 となります。
右側に現金を書くことで、現金が25万減ったことを表します。
そして左側は現金が減少した原因を表していて、この場合は借入金のマイナス(返済)です。
借入金というのは借りたとき(増えたとき)に右側に書くので、返したとき(減ったとき)には左側に書きます。
このように、現金は増えたら左(借方)で、減ったら右(貸方)に書くということを頭の片隅に入れておいてください。
では、仕訳をもう少し分かりやすくイメージしましょう。
現在、多くの方はパソコンにデータを入力して自動的に集計をするという形で経理実務を行っています。
このような、パソコンを使った経理実務のことを「パソコン会計」と言います。
今はパソコン会計全盛時代で、手書きでやるよりも早いです。
そのため、個人事業主はご自身でも経理がしやすくなっています。
会計ソフトにも色々なものがありますが、有名なのが「弥生会計」というもので、3万から4万くらいで導入できる手軽なものがあります。
他にも「勘定奉行」や「PCA会計」や「会計王」などがあります。
そして、大手のソフトを提供している会社には「TKC」や「JDL」や「ミロク」のような会社もあります。
色々な会社がありますが、いずれも入力してエンターキーを押せばデータが入力されるという便利なものです。
では、パソコン会計の仕訳帳の入力画面を見てみますが、
①(借方)現金1,000,000 (貸方)借入金1,000,000 とあります。
これは、現金が100万円増えて、借入金という借金が100万円増えたということです。
②(借方)現金2,000,000 (貸方)資本金2,000,000
これは、現金が200万円増えて、資本金が200万円増えたということです。
③(借方)借入金250,000 (貸方)現金250,000
これは借入金25万円を現金で支払って返済したということです。
この3本の仕訳から、現金は①の100万円+②の200万円-③の25万円で、275万円の残高があるということが想像できます。
借入金の残高は①の100万円-③の25万円で、貸方に75万円の残高があるということになります。
仕訳の中で出てくる「現金」や「借入金」や「資本金」などの名前のことを「勘定科目」と言います。
英語では「Account」と言って、略称で「a/c」などと書く場合があります。
パソコン会計でいうと、データ入力の作業が仕訳になるということを理解していただければ大丈夫です。
これが仕訳帳という帳簿の入力データとしての役割です。
次回は「財務諸表と会計帳簿②」ということで、さらに仕訳の取引のバリエーションを勉強してみたいと思います。
次回も楽しく会計について学んでいきましょう。
お疲れさまでした。