ビジネスリーダーのためのファシリテーション入門【前を向いて歩こう166】
前を向いて歩こう、今回は「ビジネスリーダーのためのファシリテーション入門」という本のご紹介をしたいと思います。
「ファシリテーション」というのは会議を円滑化させるためのナビゲーター、いわば「会議を仕切る人」のことです。
ダラダラした会議ではなくて、ある目的のために会議を効率良く進行させて、会議の目的を達成させるために全体をアレンジする人のことであって、「司会・進行」とは違います。
司会・進行というのはカリキュラムに従って進めるだけですが、ファシリテーターというのは参加者の顔色や意見の内容などを見て、議論が横に逸れたり目的から外れたときに“交通整理”をするのです。
したがって、ファシリテーションというのはコーチングの技術を非常によく使うのです。
この本には会議の生産性を高めるための内容が書かれています。
世の中には無駄な会議が多いですが、そのような話し合いの場でいかに皆が納得するような、あるいは次の行動に繋がるような生産性の高い会議を進めるのかという、このスキルが身に付いただけでもあなたのビジネス能力は相当アップしますし、コミュニケーション能力の基本にもなります。
コーチングは1対1ですが、ファシリテーターの場合は複数の参加者の意見調整をしますので、とても面白いです。
非生産的な会議のパターンをいくつかお話してみます。
みなさんもご経験があるかもしれませんが、1つ目は「セレモニー」になっている会議です。
社長に呼ばれたからなんとなく出ている、あるいは営業部長に呼ばれたから営業会議に出ているけれど、社長の訓辞を聞いて終わるような“セレモニー”だったり、何かを言おうとするとすぐに偉い人が出しゃばって「こうだ!」と強引に押さえつけるような、「ただの予定調和」「上司の自己満足のための場」だと思うような会議が結構あるのです。
気がつくと上司が議論の半分以上に顔を出している場合は、セレモニーと化している可能性があるので要注意です。
上司の自己満足のための会議というのは結構あるのです。
もし私がその場にいたら「部長さん、話を2割以下に減らしてください。主役は現場の人であって、あなたが主役ではないのです」と、苦言を呈することもあります。
上司が出しゃばるような会議が結構ありますが、それは最悪の会議です。
「それなら朝礼でやってください」と言いたくなります。
「会議」という名前を借りて朝礼をしてはいけません。
2つ目は、会議が「発表会」になってしまっているケースです。
「今回の状況について発表してください」という形で、持ち回りで発表したら終わりという会議です。
それならばメール・電話・回覧板でいいじゃないかと思ってしまいます。
3つ目に、「罵り合い」というケースもあります。
延々と「あいつが悪い」「こいつが悪い」などとやっている会議です。
そして4つ目は「フリートーク」になっている会議です。
単に自分の思っていることを言っているだけで、言いたいことを言ったらおしまいという会議です。
このように「セレモニー」「発表会」「罵り合い」「フリートーク」という4つのパターンがあって、いずれもありがちな、非能率的な会議の典型例です。
これを一定の手順に従って、交通整理をする方法があるのです。
たとえば、会議の目的をきちんと理解してもらうということです。
次に、実際に会議に入ってからは意見を出してもらいます。
このときには「他人の批判をしない」というルールを決めます。
ルールを決めるのがファシリテーターの役割です。
1.目的の共通理解がきちんとできていること
2.意見をたくさん出すこと
3.出された意見を整理すること
4.意見交換をして意見の深掘りをすること
5.合意をして、次の行動に繋げる
2・3・4が大事で、深掘りをしてある程度焦点がわかってきたら、最後に合意をします(合意の形成)。
理想は「完全合意」ですが、多数決で決めても構いません。
まずは目的の共通理解をし、意見を出し、意見を整理し、意見を深掘りし、最後に合意の形成をして次の行動に繋げるというステップを、そのときの状況に応じて、制限時間内に達成できるように調整する役割の人をファシリテーターと言います。
この本はすごくよくできていて、コーチングのスキルも入っていますので、コーチングの勉強も一部できます。
日本の義務教育では会議の進め方というのは教えません。
私は学校の先生の職員会議を聞いたことがありますが、あまりファシリテーションの技術ができているとは思えないケースが多いのです。
そのような教育を受けていないから仕方がないのですが、本当は教育すべきなのです。
この能力は自然と身に付くものではないので、中学生ぐらいになったら「ファシリテーション」という科目があってもいいのです。
いろんな方がファシリテーションの技術を身に付ければ、日本のあちこちの会議が生産的になって、もっと日本のGDPは上がります。
よければ、この機会に読んでみてください。
この本は久保田康司さんという方が書かれています。
ファシリテーションの基本的な構造がほぼこの1冊に収められていますし、事例も面白いので、読んでみてください。
得るものは大きいです。
会議の効率を上げるというのは、日本のビジネスにおいてすごく大きな課題だと思っています。
1人でも多くの方がファシリテーターとして活躍できれば素晴らしいなと思います。
今日は「ビジネスリーダーのためのファシリテーション入門」という本のご紹介をしました。
会議を効率化するための必殺テクニックだと思ってください。
ご参考になれば幸いです。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。