日本電子、今期の損益分岐点売上高が1割下がる(日経13*1*22*15)
日本電子は、2013年3月期に連結損益分岐点売上高が740億円前後になる見通しとのことです。
これは、2010年3月期に比べて1割強下がることになるそうです。
ここで基礎知識です。
【損益分岐点売上高】
営業利益(または経常利益)がゼロになる時の売上高。
損益分岐点売上高を下回ると、営業損失(または経常損失)となります。
損益分岐点売上高の求め方は、次のとおりです。
1.次の式を想定します。
売上高-売上原価-販売費及び一般管理費=営業利益0
2.売上原価のうち、売上高の増減に比例して増加・減少する費用を売上原価や販売費及び一般管理費から区別します。
・売上原価に含まれる変動費の例…商品仕入原価、材料費など
・販売費及び一般管理費に含まれる変動費の例…発送費用など
また、売上高の増減に係わらず一定額発生する固定費を、売上原価および販売費及び一般管理費から変動費を控除することで求めます。
(売上原価+販売費及び一般管理費)-変動費=固定費
3.変動費率を求めます。
変動費÷売上高=変動費率(売上高1円に対する変動費の額)
(例)変動費120円÷売上高(売価)200円=0.6(60%)
4.次の式に数字を当てはめていきます。
売上高-変動費-固定費=営業利益0とおく。
(例)商品1個当たりの売価は200円、変動費は120円、次期の予定固定費は300万円とする。
変動費率は120円÷200円=0.6であることから、この場合の損益分岐点売上高を求めよ。
→売上高をSとおく。
売上高-変動費-固定費=営業利益0より、
S-0.6S-3,000,000=0
0.4S=3,000,000
S=3,000,000÷0.4=7,500,000円…損益分岐点売上高
この場合は、7,500,000円の売上が上がれば、固定費3,000,000円を「売上高-変動費」でちょうどまかなえる。
売上高7,500,000-変動費7,500,000×0.6
=7,500,000-4,500,000=3,000,000円…貢献利益といいます。
貢献利益3,000,000円-固定費3,000,000円=0円…損益ゼロ
このように、「赤字にならない最低限の売上高」を意味するのが損益分岐点売上高なのですね。
損益分岐点売上高は、低ければ低いほど、「赤字になる最低売上が低い」ため、赤字になりにくい財務体質であると言えます。
したがって、日本電子の損益分岐点売上高が1割下がったというのは、日本電子のコスト構造が改善され、より低い売上高でも赤字にならない体質に変化した、ということを意味するのですね。
その理由としては、人員削減やグループ会社の統合などのコスト削減を進め、1ドル78円でも黒字になる収益構造ができあがってきた、ということが言えるそうです。
企業の収益構造、コスト体質の強さを図る判断指標として、損益分岐点売上高の計算方法をぜひ理解しておきましょう。