キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)(日経12*12*5*15)

会社の運転資金の回転スピードを測る指標として、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)というものがあります。

これは、商品を仕入れてから売上代金を回収するまでの平均期間を日数で表示し、それが短いほど資金効率が良い会社であると判断するものです。

数値例で見ていきましょう。

(例)A社の年間売上高は730億円だった。
バランスシート上の運転資本に関する各資産・負債残高は次のとおりだった。(運転資本=営業活動に必須の資産・負債)

(営業活動に必須の資産)
売上債権…80億円(※売上債権=受取手形+売掛金)
棚卸資産…60億円

(営業活動に必須の負債)
仕入債務…72億円(※仕入債務=支払手形+買掛金)

(参考)事前に準備が必要な運転資本の不足額
⇒売上債権80+棚卸資産60-仕入債務72=68億円

以上より、CCCを求めましょう。

(答え)

<ステップ1>
1日当たりの売上高を求める

⇒730億円÷365日=2億円/日

<ステップ2>
⇒各要素の回転日数(支払・資金化などにかかる日数)

売上債権…80億円÷1日当たりの売上2億円=40日
棚卸資産…60億円÷1日当たりの売上2億円=30日
仕入債務…72億円÷1日当たりの売上2億円=36日

ステップ3
⇒売上債権回転日数+棚卸資産回転日数-仕入債務回転日数

40日+30日-36日=34日…CCC

以上より、A社の場合はキャッシュ循環の日数が34日と、1ヵ月強であることがわかった。

…と、このような計算をします。

ちなみに、だいたい売上債権は1-3ヵ月、在庫は1-2ヵ月、仕入債務も1-3ヵ月程度なので、おおむねCCCは1.5~3ヵ月くらいが常識的な線ではないでしょうか。

つまり、資金循環が45日~90日ぐらいという感じです。

この点、同日の日経新聞では、日本電産が2012年3月末に85日だった資金循環の日数を今期末に60日へと短縮する数値目標を掲げているようです。

ちょっと前の指標ですが、2010年度の指標では、ソニーやパナソニックが約40日だと計算表示しているサイトがありました。
そこには、比較として米アップルのCCCも出ていましたが、それがなんとマイナス20日。

つまり、「発売前からすでに資金回収を終えている」という恐ろしい状態です。

米アップル、CCCでも怪物ぶりを発揮しています。

御社の資金繰りや資金効率をチェックする指標として、いちど試してみてはいかがでしょうか。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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