主力企業にとって金融収益が稼ぎの柱に(日経12*9*6*1)
主力企業の間で、金融事業が収益の柱に育ってきているという、非常に興味深いビジネストレンドのお話です。
これは、あなたの所属するビジネスにも応用可能なニュースです。
さて、それではどんな内容なのか、見ていきましょう。
金融事業を展開する主力企業40社では、2011年度の営業利益に占める金融の割合が27%にも達したそうです。
2007年度にはわずか7%程度の少ない比率でしたので、この間、約4倍の占有率にまで上昇したと考えることができます。
その背景には、自社製品の販売というおおもとのビジネスを補完する目的で強化してきた金融事業の成長があります。
たとえば、イオンは2013年2月期に金融事業の営業利益が前期比で、約3割増える見通しだそうです。
トヨタも、自動車ローンからなる金融事業の利益で2013年3月期に全体の3割前後を稼ぐ見込みです。
ところで、このような本業とは異なる種類の営業収益の表示は、損益計算書上、どのように行われるのでしょうか。
この点、会計実務の手本となるべき根本ルールとして「企業会計原則」というものがありますが、その規則の中で、次のような条文があります。
企業会計原則 第二 損益計算書原則
(損益計算書の区分)
二 損益計算書には、営業損益計算、経常損益計算及び純損益計算の区分を設けなければならない。
A 営業損益計算の区分は、当該企業の営業活動から生ずる費用及び収益を
記載して、営業利益を計算する。
二つ以上の営業を目的とする企業にあっては、その費用及び収益を主要な営業別に区分して記載する。
以上の二Aというところにあるとおり、営業損益計算、すなわち営業利益の計算表示をするところで、二つ以上の営業目的がある場合、その費用と収益を営業別に区分して記載するものとされています。
この点、多くの会社が大なり小なりの分類方法で、2種類以上の営業をしていることがあるでしょう。
ただ、その規模の差が大きすぎたり、一方の営業内容がとるにたらないほど小規模なものだったりする場合には、あえて二つ以上の区分に分けて表示する必要がなく、合算でP/L表示でもOK!という考え方になります。
今回の新聞記事で話題になっているのは、損益計算書で金融事業と本来の商品販売の収益・費用を区分して表示してもおかしくないケースと考えられます。
たとえば、トヨタの場合、車両等の販売と金融事業を次のように損益計算書では区分して表示しています。
売上高(平成24年3月期) (単位:百万円)
商品・製品売上高 17,511,916
金融収益 1,071,737
売上高合計 18,583,653
売上原価並びに販売費及び一般管理費
売上原価 15,795,918
金融費用 592,646
販売費及び一般管理費 1,839,462
合計 18,228,026
営業利益 355,627
ご覧いただけると分かる通り、売上高や売上原価などごとに、商品・製品売上高と金融収益などに区別して表示していますね。
これにより、会社が行っている営業の種類ごとに、その業績のよしあしを確認することができます。
日商簿記検定などを勉強していると、損益計算書の表示は「売上高」一本でなされているケースが多いかと思いますが、実務的には、このように事業の種類ごとに表示することもあるんだな、ということをご理解いただければ幸いです。