JTが1株を200株に株式分割(日経12*4*14*15)
日本たばこ産業(JT)は、4月13日に
「株式分割、単元株制度の採用及び定款の一部変更について」
というタイトルでプレスリリースを発表いたしました。
※JTのホームページ→ http://www.jti.co.jp/
内容は、同日開催した取締役会で、株式分割、単元株制度の採用および定款の一部変更に関する決議を行ったというものです。
このなかでのポイントは次の点です。
・従来の1株を200株に分割した。
<分割の日程>
基準日公告 2012 年5 月31 日 (木)
基準日 2012 年6 月30 日 (土)
効力発生日 2012 年7 月 1 日 (日)
これにより、株価の表示が従来の200分の1になり、小口化されます。
たとえば、先日(2012年4月16日)の終値が465,000円でした。
これは分割前の株価なので、200分の1に分割されると、
465,000円÷200株=1株当たり2,325円 と表示されることになります。
ただし、売買単位は100株からになるので、じっさいにJTの株を買おうと思ったら、売買代金ベースで2,325円×100株=232,500円の資金を最低限用意する必要があります。
とはいえ、これまでは465,000円を出さなければJTの株が買えなかった
事を考えると、その半分の資金で買えるようになるので、個人投資家の割合が増えるだろうと、期待されます。
【基礎知識】
株式分割
すでに発行している株式をその何倍かに増加させることです。
1:2ならば、従来の発行済み株式数が2倍になります。
株式分割を行うことに寄って、投資単位が小口化され、小額の資金でも資本参加しやすくなります。
これによって、個人投資家による購入も増えたりして、株価が上がる要因となりやすい取引です。
なお、株式分割によって新規の払込みは行われないため、バランスシート上の純資産の増加はともないません。
あくまで株式数の増加と、それにともなう1株当たりの金額の小額化をもたらすのが特徴です。
単元株制度
株式の売買における最低単位のことです。
ある銘柄を購入するときに、最低現必要な資金が、1単元の株数の購入代金です。
たとえば、1単元10株といえば、最低10株からでないと取得出来ない、というわけですね。
単元株制度の趣旨は、最低の出資額が高額になりすぎることなく適度な出資単位を確保し,投資を促進することができる、というものです。
資本市場への投資家の参加を促すには投資単位の小口化は避けられないけれども、小口化が行き過ぎて、小額投資の株主数が増えすぎた場合の管理コストもばかにならないため、いいあんばいでバランスを取った感じですね。
ちなみに、平成19年11月27日に全国証券取引所が公表した「売買単位の集約に向けた行動. 計画」の趣旨に沿って、単元株を100株単位にする会社が増えています。
これは、証券取引所の国際的な競争力維持や、売買単位の株数がバラバラになることによる誤発注のリスクの軽減などの目的から、期限を決めて、上場企業で売買単位を100株に統一しましょう、という運動ですね。
(参考) http://www.tse.or.jp/listing/seibi/unit.html
JTの100株で1単元とする決定も、こういった時代の流れに沿ったものと言えそうです。
今回の株式分割および単元株制度導入の背景には、ここ1年程度における株価の急回復があると思います。
(参考)JTの2010年3月末以降の半年ごとにおける株価
2010年3月末 ・・・ 348,000円
2010年9月末 ・・・ 277,900円
2011年3月末 ・・・ 300,500円
2011年9月末 ・・・ 363,500円
2012年3月末 ・・・ 466,000円
2010年9月末から比較すると、1年半で1.68倍に株価が上昇しています。
株価が上がると、新規の出資に必要な金額が多くなりますので、資金量の少ない個人投資家などをはじめとして、だんだん需要が鈍ってくる可能性はあります。
そこで、株価が好調な状態で株式分割をして出資単位を引き下げる効果が期待されます。
なお、以前はライブドアなどを筆頭に、かなり株式分割がはやっていました。
分割後に、以前の株価に回復するだけでもすごい含む益のアップになるので、株主は喜ぶわけです。
リーマンショック後は、それほど大きな話題として上がることがあまりなかった株式分割に関して、久しぶりに取り上げてみました。